テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#藤澤涼架#大森元貴#若井滉斗
えびっ子
257
波野🐏
32
ある日、若井はなんとなくスマホをいじっていた。
SNSを流し見していると、ふと見慣れない言葉が目に入る。
「夢小説?」
聞いたことはあるような、ないような。
少し気になって、そのまま検索してみる。
出てきたのは——自分たちの名前。
「……は?」
思わず声が漏れた。
スクロールしていくと、どうやらファンが書いた物語らしい。
「え、これ俺ら……?」
半信半疑のまま一つ開いてみる。
内容を読み進めていくうちに、若井の口元がじわっと緩んだ。
「はは、なにこれ……おもろ」
現実とは違う設定、やたら甘い展開。
ツッコミどころだらけなのに、不思議と嫌な感じはしない。
むしろちょっと面白い。
「涼ちゃーん、ちょっとこれ見て」
隣にいた涼ちゃんにスマホを差し出す。
「何?」
興味なさそうに受け取った涼ちゃんは、画面に目を落とす。
数秒、無言。
そして次の瞬間——
「……なんだこれ。気持ち悪い」
即答だった。
そのままスマホをぐいっと若井に押し返す。
「え、そんな言う?」
「いや普通に無理。なんで僕らがこんなことしてんの」
眉をひそめたまま、露骨に嫌そうな顔。
若井は苦笑しながらスマホを受け取る。
「いやまぁ、ファンの人が書いてるやつらしいけどさ」
「だからってさぁ……」
涼ちゃんはため息をついて、そっぽを向く。
若井はもう一度画面に目を落として、小さく笑った。
「でもさ、ちょっと面白くない?」
「面白くない」
即答。
「即否定じゃん」
「当たり前じゃん」
ぴしゃりと言い切る涼ちゃんに、若井は肩をすくめた。
それでも、なんとなくもう一度スクロールしてしまうあたり——
若井も案外、嫌いじゃないのかもしれなかった。
次回500
コメント
2件
おっと......こちら側の世界へようこそ🎸さん ( ( (