TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する


番外編 恨みの理由

静まり返った会議室から、風見さんと美濃さんは別室へ、本部長と移動して行った。

見事に二人が自滅した。

それにしてもあれだけ派手にやってくれるとは思わなかった。

風見さんと美濃さんの間に、恋愛感情がなさそうだと気が付いたのは、いつだったろう。

恋人同士の演技をしているように見えたのは、愛があって花音に接している「契約恋愛中」の自分と比べたからかもしれない。

会議室の片付けをしていると、俺も別室に来るようにと内線で呼ばれた。

証拠のボイスレコーダーと、スマホで撮った写真を持って別室へ行く。

風見さんは第二会議室、美濃さんはミーティングルームにいるらしい。俺は美濃さんのいる部屋のドアをまずノックした。

「どうぞ」

「失礼します」

ミーティングルームは、5人座れる程度の小さな部屋。社長と本部長が風見さんを担当し、あとから来た総務部長が美濃さんの担当をしているらしく、二人が長机越しに向き合って座っていた。

「永井くん、ここへ」

総務部長の隣のイスに腰かける。

美濃さん俯いたまま鼻をすすっていて、泣いているように見えた。

「証拠があるって聞いたけど」

「パスワードを知っているという話を、美濃さんがしたときのボイスレコーダーがあります」

ビクッと肩を揺らした美濃さん。

「美濃さんはもうパスワードを知っていることと、風見に機密情報を流したことは自白したよ」

「……はい」

聞くことはそれくらいか。

ちょうど内線が入って、総務部長が席を外した。

逃げるとは思えないがとりあえずこの部屋から出ないよう、見張りを頼まれる。ミーティングルームには、俺と美濃さんだけになった。

窓の外が暗くなり、ぽつぽつと雨が降り始めていた。「いつ、気が付いたんですか? 私たちが機密情報を漏らしていると」

ゆっくり顔を上げた美濃さん。泣いていたのか目が赤く腫れている。

「ひと月ほど前です。営業先に行ったとき、BOM社の製品で似たようなものが出ていると聞いたので」

「よく、私たちだと気づきましたね」

「美濃さんに探りを入れたのは、完全にこのことを確かめるためでした」

「……だと思った」

美濃さんは小さく息をついて、口を開いた。

「今日付けで退職します。というか、懲戒解雇でしょうね」

「……あの、ひとつお聞きしてもよろしいですか?」

「はい」

美濃さんは、開き直ったのかスッキリとした顔つきになっている気がした。エキゾチックな瞳が俺を刺すように見ている。

「なぜ、藤原さんに執着するんですか? 彼氏を取ったのは二度目だとききました」

「……藤原さんは、私が欲しいものを全部持っているんです」

「え?」

「羨ましかった。ただ、それだけです」

そう告げて、黙り込んだ美濃さん。俺は腑に落ちなくて、続けざまに疑問をぶつけた。

「羨ましいという理由だけで、ここまでしますか? 自分という人間を危険に晒し、懲戒解雇という汚点をつけてまで、なぜ藤原さんを陥れようと思ったんですか?」

「……」

「もっと、何か、他の理由があるのでは?」

「そんなこと聞いてどうするの?」

ぐっと目に力が入った美濃さん。痛いところを突かれた、そんな気持ちが伝わってくる。

「……藤原さんも気になっているのね?」

だから聞くのでしょう、と逆にこちらを突いてくる。いまさら誤魔化しても仕方ないと俺は首を縦に振った。

「そうです。藤原さんは理由を知りたがっています」

「……わかったわ。もう、潮時だと思うし」

伝えるか、伝えないかは任せると言われて、ごくんと唾を飲み込んだ。

「私と藤原さんは、異母姉妹なの」「えっ、なっ……異母……って」

「父親は同じ人。私の母親と藤原さんの両親の3人は大学の同級生で、仲の良い友人だったそうなの」

蜜音の花が開くとき~復讐のためにイケメン後輩と夜のサブスク契約結びました!?~

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

8

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚