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カーテンの隙間から差し込む陽光と鳥の囀りで、奏はゆっくりと瞼を開いていく。
互いに上半身裸のまま、怜に抱きしめられている状態に、彼女は一瞬頭の中が混乱した。
(え!? ちょっとこれって……)
まだ眠っている怜の表情を見やりながら、昨夜の出来事を思い返してみる。
目の前で穏やかに眠っている彼に自身の過去を打ち明け、改めて告白された時、『今日は帰さない。ずっと抱きしめていたい』って言われて、それから……。
色々と考えているうちに、なぜ上半身裸でいるのかを思い出した時、奏の表情が桜色に染まった。
見慣れない天井を凝視しながら昨夜の出来事を反芻していると、寝ていたはずの怜が奏を抱き寄せてきた。
「奏。起きたのか?」
「お、おはようござい……ます」
「おはよう、奏」
怜は奏の唇に優しくキスを振る。
「そうか。そういえば昨夜は……このまま奏を抱きしめて寝たんだよな」
彼は上半身を起こし、奏を見下ろすと、カーテンから僅かに漏れ入る陽の光が、彼女の露わになった二つの膨らみを照らしている。
「ちょっ……見ないで下さ——」
途端に恥ずかしくなった奏は、慌てて怜から身体を背けるが、言葉を言い切る前に肩を掴まれ、仰向けにさせられた。
「もう俺に肌を触れられるのは……嫌か?」
小さな肩をベッドに貼り付けられ、怜は滑らかな首筋に唇を伝わせていく。
時折響くリップ音が奏の羞恥を煽るが、怜は構わずに唇を落とし続けた。
「嫌じゃないけど……朝にこんな事するのって……恥ずかしいです……」
「俺は……」
怜が見せた真剣な表情と彼の引き締まった肉体に、奏は朝から鼓動が加速していくのを感じた。
「時間に関係なく、奏に触れていたいけどな……」
(この人は、どれだけ恥ずかしくなる事を、しれっと言うのだろう? 心臓に悪いし……!)
考え事を遮るように、再び怜の唇が、尚も奏の首筋を彷徨い続ける。
「っ……んっ……」
(怜さんは、実は結構エロい人なのかもしれないな……)
そんな奏の思いを見透かしたのか、彼は企むように片側の口角を器用に吊りながら笑った。
「奏。俺を朝っぱらからエロいと思ってるだろ。それは相手が奏だから。奏だからこそ、エロくなるし、肌に触れたくなるし、抱きたい。だけど、俺が奏を抱く時は、奏が俺に抱かれたいと思った時な?」
とはいえ、彼女の太腿に感じる異生物は、既に硬度が増している。
奏の頭を撫でながら、筋張った指先が長い髪を一房掬い取り、絡ませた。
「怜さん……」
奏が呼びかけると、どうした? と言うように穏やかに微笑む。
「……怜さん、辛くないんですか?」
「辛い? 何がだ?」
今の状況の『辛さ』を、どうやって説明すればいいのだろう?
奏は語彙力の乏しさに、げんなりとしてしまう。
正直な気持ちに適する言葉を頭の中で探しながら、目の前で奏を見下ろしている怜に伝えた。
「なんて言うか……その…………今すぐにでもセックスしようと思えばできる状態なのに、できない状況で……身体とか……精神的に辛くないんですか? 私の太腿に当たっているのって……怜さんの…………アレ……ですよね?」
辿々しくも、真剣に聞いてくる奏に、怜がふわりと笑うと、そっと艶髪に触れた。