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今はいない君へーー
この手紙は君に届くことはないだろうけど、 万が一、君に届いた場合のために書いておくよ。
魔王を倒してからは色々なことがあってね。
あれから王都はパレードで大盛り上がりで…
王様もひどく喜んでいたよ。
その後、僕たちもパレードに参加してご飯を食べたり遊んだり…
そうそう、戦士と魔法使いが結婚したんだ。
あの2人ずっと仲悪かったのにまさか意外だよね?
2人から結婚の報告を酒場で聞いた時は思わずお酒を吹き出してしまったよ。
ちゃんと2人には結婚祝いとして花を贈ったんだけど…これで大丈夫かな?
って、こんなことでクヨクヨしてたらまた君に怒られてしまうね、ごめんごめん。
僕たちは4人で魔王を打ち倒したけど、それまでの道のりとか覚えてる?
すごく大変だった気がするんだ。ていうか絶対そうだよ。
覚えてるかな?初めて僕らが出会った時にお金を装備に使うか、アイテムに使うかですごく喧嘩したよね?
結局、間をとって戦士の提案の、酒場でご飯を食べることになったけど…
後にも何回も君とは喧嘩して…その度に戦士と魔法使いが僕らを宥めてた。
他にもその2人が喧嘩した時もあってさ。
たしか戦士が魔法使いの大事にしてるペンダントを壊してしまったんだっけ…後にも先にもあそこまで怒った魔法使いは見たことなかった…
でも結局、戦士が新しいペンダントをプレゼントして2人は仲直りした。
最近知ったんだけど、あのペンダント、そこの地域では『色褪せぬ愛』という意味があったらしいよ。
もしかしたらその時から2人はいい感じだったのかもね。
あとは…君と僕で星を見に行った日を覚えてる?
魔王城に近づくにつれて、空は曇っていってたけど、ある丘の上だけずっと晴れてた。
戦士と魔法使いが宿で寝てる時、君と抜け出してそこに星を見にいって…
久しぶりに見る星を見て、僕たちなぜか泣いちゃって…
2人で泣いてること言い合って笑って…あの時、僕すごく楽しかったよ。
この幸せが魔王を倒した後にも続けばって思ってた。
君を守りきれなかったこと、今でもすごく後悔してる。こんなこと君が聞いたらきっと怒るよね…。
『そんな弱音を吐かないでください、貴方は勇者なのですよ!』
僕が弱音を吐くたびに君はこうやって励ましてくれた。今でもずっと覚えてる。
時にうざったくてまた喧嘩したり拗ねたりしたけど…
でも、そんな君がいたからこの旅が辛いものじゃなくて楽しいものだったんだ。
恥ずかしくて言えなかったけど、この手紙で言わせてもらうね。
ほんとうにありがとう。そしてーー
君を愛してる。
…さて、もうこのくらいにしておこうかな。
きっと君は今頃、女神様とティーパーティーでもしてるころだろうし。僕もまだやるべきことがあるしね。
じゃあ、またいつの日か。
ーー君の1番の友達より