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1日目ーー
今日は勇者パーティの聖女として、共に魔王城に向かう仲間を迎えに行きました。
きっと教会で聞いていたような素晴らしい方だと思っていたのですが…蓋を開けてみれば、装備の見た目から入るようなダメダメさんでした…。
がっかりです…。
結局、酒場でみんなと親睦を深めることになりましたが、私は上手くやっていけるでしょうか?
2日目ーー
早速王都を出発しましたが、大きな問題に直面しました。
食料と水です。私たちは出発の時、最低限のお金しか持たされなかったので…
どうにかして近隣の村で貰うことはできていますが、これもいつまでもつか…。
3日目ーー
勇者様と戦士様が怪我をなされました。
このくらいどうもないと強がってはいましたが、無理矢理治療して、今はぐっすり寝ています。
いきなりドラゴンに挑むなんてやはり無謀でした…。
4日目ーー
王都から1番近い街に着きました。
数日ぶりの宿にみんな大はしゃぎで…本当に困ったものです。
勇者様は装備をまた買いにいこうとするし、戦士は酒場に…魔法使いさんに関しては街に入った瞬間からいなくなっていました。
まったく…明日、お説教ですね。
10日目ーー
街が魔物の襲撃に遭って少し経ちました。
数日間、日記を書けていなかったのですが、今日からまた書き始めます。
街の人たちは怪我人ばかりで、今も治療に勤しむ方々が魔法使いさんも含めて、大勢いらっしゃいます。
私たちは…なぜか領主から魔物を連れてきたと誤解されて、街の中では悪者扱いです。
勇者と戦士が弁解していますが、いつ皆んなが襲われるかも分かりません…。
早く、この街を出ないと…。
ーーここからは少し間が空いていた。
ページをめくっていくと、何やらまだ書いてあるところがあった。
…日目ーー
大変なことばかりで日記を書く暇もありませんでしたが、今日は書きます。
魔王城に近づくにつれて、雲は暗くなっていっています。
既に皆、疲労困憊状態で…私もそうです。
近くの村で占い師さんに未来を占っていただきました。
『魔王は倒される、だけど…』
…そこから先は書かないことにしました。
きっと、これを勇者様が見ると、怒るでしょうし…。
明後日、私たちは魔王城に入ります。
万全の状態にしておかないと…。
…日目ーー
星がすごく綺麗でした。勇者様もそう思っていたようで、2人して涙を流して笑いあって…
…勇者様は気づいておられないでしょうね。
私が貴方のことを好きになってしまっただなんて。
でも、それを貴方に言ってしまえばきっと魔王を倒した後…貴方は…
いえ…不謹慎な事を書くのはやめましょう。
未来は誰にも分かりませんから…。
………日目ーー
魔王城の地下に閉じ込められてしまいました。
他の3人は捕まらなかったようですが、無事でしょうか?
私の牢屋には定期的に魔物が巡回しに来ます。
どうにかして抜け出さないと…。
もうなんにちが経ったのでしょうか?
いや、まだなんじかんかもしれませんね。
でも、すごく長いじかんが経った気がします。
お腹も空いてのどもかわいて…視界がゆれているようにみえます。いきも…しづらい…
おそらくこれがさいごの日記になるでしょうから、まだ言えてなかったことを書いていくことにしました。
戦士様へ
いつもあなたは酒場でお酒ばかり…いつか、女神様のバチがあたりますよ。それと、魔法使いさんは繊細な方ですから、しっかり大切になさってくださいね。
もう、酔っ払って魔法使いさんの大切なものを壊してはいけませんよ!そんなことしたら女神様にいいつけますからね!
あなたたちの幸せを心より願っています。
魔法使いさんへ
同じパーティー内の女性同士として仲良くしてくれてありがとうございました。勇者様と喧嘩してる時に、私をいつも部屋で慰めてくれて、今でもすごく感謝しています。
でも、なによりもあなたという友達ができてとても嬉しくて…楽しくて…
幸せになってください、それが私の願いです。
勇者様へ
いつも私とは口喧嘩して、こんなの勇者じゃない!と思っていましたが、それは私の間違いでしたね。
どれだけ喧嘩しても、絶対に私達を守ってくれた貴方は …他の誰がなんと言おうが、私にとっての勇者様です。
あの日、星を見にいこうと手を繋いで連れていってくれた時、すごく嬉しかったです。
こんな幸せでいいのかなって…
…ごめんなさい、星をまた見に行くという約束を守れなくて…
ごめんなさい……
この日記が貴方に見られることはないかもしれません…どこかでビリビリに破られてしまう…なんて…
だから…この言葉が貴方にとって大きな枷になるとわかっていても…
それでも…私は貴方に伝えたいことがあります。
ーー愛しています。
今までも、これからもずっと。
どうか私のことはわすれてください。
久遠の安らぎを貴方にーー