少年と呼べるのかすら怪しい年齢の少年は夜の街を歩く。
少年の名前は藤。オーナーが好きな花が藤の花だからという何とも曖昧な理由で付けられた。
少年はあるクラブの前に捨てられていた。オーナー代理が拾わなければ今頃この世にはいない。
そのクラブでは殺しを生業とする人が大勢いた。このクラブのオーナーが殺しをクラブの従業員に教えまくったのが原因である。
そんな所に拾われればもちろん教えられるのは殺しである。
幸い、少年には恐ろしいほど殺しの才能があった。何も教わらなくても常日頃殺しの事を考えているような雰囲気が少年を着飾っていた。
少年は感情がないに等しかった。殺すときですら表情一つ変えなかった。
少年はオーナー代理に気に入られていた。
ある日、今度オーナーに会いに行こうと少年は誘われた。だが、その日になると少年は体調を崩してしまった。
仕方なく少年を置いてオーナー代理とその友人は2人だけでオーナーに会いに行った。
クラブの人達に内緒で行っていたのでオーナー代理とその友人がいきなり居なくなるという事件が起きた。
店は大慌てになり少年のことを気にする人など居なかった。
その頃少年は外に放置されていた。
体調を崩していたのに。
少年は目が覚めたら外に放置されていることに既視感を感じた。
“1番初めにクラブに拾われた時と一緒だと”
何を隠そう少年は死んでは転生し藤という少年になることを繰り返している。
記憶にあるのは2回だけ。今回で3回目である。
もう既に生きることに対して執念など微塵もなく死ぬなら死ぬと腹を括っている。
その時、少し派手な服を着た人が道を通った。
少年は何故か信じてしまいたくなった。
「まって…いかないで…」
少年の声は虚しく空気に溶けていった。
声は、届かなかった。
少年は…。藤は、泣いた。
季節はもう既に真冬である。そんな時に幼い少年が放置されれば当然…。
少年は死んだ。
少年の遺体を見たオーナーは自分を責めて殺したくなった。
コメント
2件
なるほど……🤔💭 少年は…藤さんは何度も過去をループしてたから何度も同じようなことが起きてたんだ……!! でも、やっぱり幼い子を真冬のさっむいときに外に放置するのは良くないよね……💦 藤さんの声が届かなかったのは辛いな……っ
✌︎︎( ◜▿◝ )