テラーノベル
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なんて大きい・・・温かい・・・硬い・・・
壁にしがみついているようなものだった、しっかり彼の首に腕を回すと、また少し屈んでくれた、これでキスがしやすくなった
彼の逞しい体に包み込まれていると、桜は意外なほどの安心感を覚えた、肌触りの良い木綿の白Tシャツ、清潔な男性の肌、お風呂上がりのボディーソープのフローラル・ブーケの爽やかな香りが漂ってくる、自分は男性経験は無い、でも今は経験不足を熱意で補っている
なんでもやれるような気がする、体中から「好き」が溢れてくる——だだ洩れだ
——ジンさん、好き、好き、好き、好き、好き、好き——大好き!―
もどかしくて、桜は唇で彼に口を開けろと催促した、ティーンエイジャーのように、ただ唇を重ねるだけのフレンチキスなどしたくなかった
あの道頓堀で彼がしてくれた、世界が吹き飛ぶようなキスをして欲しい
桜の想いを理解したらしく、ジンがそっと口を開いた、待ってましたとばかりに桜はその温かくて滑らかな口内に自分の舌を刺しこんだ
無我夢中だった、彼の舌はペパーミントの味がした、きっと温泉で歯を磨いたに違いない、桜の熱意をくみ取ったのか、ジンが桜の背中を両腕で抱きしめて後ろに傾けると——今度は「僕のターンだ」とばかりに、飢えたように彼がキスを返してきた、桜の全身に熱い血が巡り始めた
思考も意志も消え去った、そうよ!これこそが長年私が求めていたものだわ・・・これでもかというほど、この人に強く抱きしめられながら、唇を奪って欲しかった・・・
二人の間に見えない炎が燃え上がった、今まで想像もしたことがない、吸い込まれそうな、詩の文句のような、蜂蜜を舐めとるかのようなキスをしていた
お腹に彼の硬いものが当たる・・・桜も、この数分でより重くずっしりと膨らんだような気がする自分の乳房を彼にグイグイ押し付けた、すると彼が酸素を求めて口を離し、耳元でとても熱い吐息をもらした、思わずゾクリとする
ハァ・・・ハァ・・・
「え~と・・・部屋に行く?」
ハァ・・・ハァ・・・
「うん・・・」
桜は自分の大胆さに頬を赤らめながらも、これから起こる二人の素敵な時間に思いを馳せた
もう私達は言葉ではない、同じ思いで、心も身体も一つになる・・・ううん、絶対なりたい!二人が手を取り合ってロビーを出ようとすると、その時——
「あら」
冷たい声が、背後から響いた、ジンと桜がはっとして顔を離す
振り返るとそこには、女将のフネが、じっと二人を見つめていた、天井まであるはめ板ガラスの橙色の光の中に立つその姿は、まるでずっと前からそこにいたかのようだった
「ずいぶんお熱いことで、真っ昼間から恥ずかしい、この旅館の跡取り娘は節度というものを知らないのね、それとも都会で商売女のようになってしまったのかしら」
フネの声には、何の感情も込められていなかった、ただ、その目だけが鋭くジンを見つめていた
二人は磁石が弾けるように、慌てて離れた
「ま、ママ!これは・・・その・・・」
顔を真っ赤にして桜は言葉に詰まる、フネは何も言わず、ただゆっくりと歩いてきた。その足音がロビーに静かに響く、ジンは背筋を伸ばしてフネの前で頭を下げた
「も・・・申し訳ございません」
「謝るようなやましいことでもあるのかしら?」
フネの声は静かだった
「いえ・・・その・・・」
ジンが言葉を探しているとフネは小さく息を吐いた、しかし、その目は鋭く、フネはジンの前で立ち止まった
「うちの人が落ちたのは・・・本当に事故なのかしらね?」
「ママ!どういう意味よ!」
桜が声を荒げたが、フネは何も答えずにただジンを見つめていた、その視線はまるでジンの心の奥底まで見透かすようだった、やがて、フネは小さく息を吐き、表情を和らげた
「うちの人が目をさましてあなたを呼んでいますよ、と・り・あ・え・ず—、私からもお礼を言っておきますね」
「ママ!!」
「あなた達に会わせたい人がいるの」
フネが振り返るとその後ろに、見覚えのある人物が立っていた
「浜崎さん!」
入国管理局の捜査官・浜崎がフネの後ろに立っていた、くいだおれ人形のような丸眼鏡に、中折れ帽を被った彼が、するどい目つきであいさつ代わりに一礼した
ジンの全身に、冷水をかけられたような悪寒が走った
コメント
4件
えーん😭いい雰囲気だったのに… 船さん怖いよーーー😱 ピンチ‼️2人で乗り切ってーー👊
いや、事故を疑うなんて…浜やんより船さんの方が手強いな…😱
キスで盛り上がって❤️🔥雰囲気良かったのにラスボス様が怖すぎる😱