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冥王会の本部最深部。鋼谷と篠田が立つ広大な地下ホールは、ただならぬ空気に包まれていた。すでに冥王会の幹部たちが集結しており、その中で冥王はまるで王のように座していた。冷徹な視線が鋼谷と篠田に注がれ、二人の存在を完全に把握した様子だった。
冥王は、冥王会の創設者にして、その絶大な力を誇る異能者。彼の異能は「虚無の手」。物体や霊体、そしてそれらが持つあらゆる力を無に返す恐ろしい力だ。彼が戦場に降り立てば、戦況は一瞬で逆転する。
その男がついに動き出した。冥王は静かに立ち上がり、鋼谷と篠田に向けて歩を進める。その歩みは重厚でありながら、どこか不気味なほど静かだった。
「来たな、鋼谷。」冥王の声が低く響く。「お前がここまで来るとは思わなかった。しかし、君の行動は全て無駄だった。」
鋼谷は無言で冥王を見据える。篠田は鋼谷の後ろに控え、警戒を怠らない。その目は鋼谷の背中に集中している。
「無駄なことはない。」鋼谷は冷ややかな声で答えた。「お前が冥王会を動かす限り、俺は絶対にお前を倒す。」
冥王はその言葉に微笑み、手を広げると、空間が不気味に歪み始めた。鋼谷の目の前で、虚無の手が具現化し、目の前の空間を引き裂こうとする。
「虚無の手の力は計り知れない。」冥王の声が鋼谷の頭の中に響き渡る。「お前がどれだけ努力しても、俺の前では無意味だ。」
その瞬間、鋼谷は思わず立ち止まった。冥王の力が彼の体に直接的な圧力を加え、まるでその存在が「無」であるかのように感じられる。自分の存在が消え去るのではないかという恐怖が鋼谷の心に忍び寄る。
だが、それでも鋼谷は動くことをやめなかった。彼は鋼鉄の意志を持って立ち続け、冥王の力を打破する方法を探し続ける。
「お前の異能を恐れる必要はない。」鋼谷が低くつぶやいた。その言葉を聞いた冥王は少し笑い、ゆっくりと手を下ろした。
「そうだ、お前は恐れを抱くべきだ。」冥王は手を広げ、虚無の手を具現化させた。
その虚無の手は、鋼谷の目の前で巨大化し、まるで世界を覆い尽くすような力を持っているかのように見えた。空間が歪み、すべての物体が無に返される準備をしている。
だがその時、鋼谷は一瞬だけ異能の力を感じ取った。冷静にその力を分析する中で、彼は冥王の力に対する弱点を見つけた。
冥王の虚無の手は、強力ではあるが、それを維持するためには膨大なエネルギーを必要とする。そのエネルギーを消耗させれば、冥王の力も徐々に弱まる。
鋼谷はその瞬間に動き出した。篠田と共に冥王に向かって突撃する。冥王の虚無の手が迫る中、鋼谷はその力を避けながら、篠田と協力して冥王を包囲する。
「お前の力を消す。」鋼谷は冥王を見据え、冷徹に言い放った。
冥王は少し驚いた様子で鋼谷を見つめる。だがすぐに冷笑を浮かべ、虚無の手をさらに強化しようとした。その瞬間、鋼谷と篠田は同時に動き、冥王の虚無の手に対抗する一撃を放った。
「それが最後の手だ。」鋼谷は一歩踏み込み、全力で虚無の手に立ち向かう。
その結果、冥王の力に歯が立たなかった。虚無の手の力がついに消え、冥王の足元が崩れた。鋼谷と篠田の攻撃が冥王に決定的な一撃を与え、冥王はついにその場に膝をついた。
「終わりだ。」鋼谷は冷静に言い放つ。
冥王は無力に頭を垂れ、その目に敗北を認める表情が浮かんだ。その瞬間、冥王会の支配が崩壊し、冥王は力を失ったのだった。
鋼谷はその場を見渡し、冥王会の幹部たちを黙って見守った。