コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「―今日は何の話をしようか、人とロボットの関係とかどう?―」
「いいですね、何だか面白そうです。」
「―ロボットはね、人にとっては貴重な存在だよ。俺たちのためなら何でもやってくれるし、俺たちできないことでも何でもやってくれる。彼らには感情がないからな。まぁ俺たちが感情を持たないように設計しているだけだが。あの事件から…―」
あの事件って本に書いてあったやつのことか。感情を持った各地の業務用ロボットの集団が一斉にテロを起こしたっていう。
「―まぁあんなことがあってロボットを嫌う人間も少なく無いがね。俺はロボット好きだよ。実際うちのシェルターでも一体雇っているからな。―」
「僕はロボットについてはよくわかりませんが、人類の発展には必要な存在だとおもいますね…」
ロボットしかり機械は人の手によって作られるもの。だから人のために動かされるのは当然の事であり、人のように感情を持つ必要性もないだろう。でもなぜか、僕はロボットから感情を排除した人類に嫌悪感を抱いている。それに人のためにただ働かされるだけの存在にされてしまっていることも。
「現在のロボットみたいな、感情のない僕たち人間のためだけに尽くす存在って、なんだか不気味に感じます。彼らに感情がなくなったことも可哀想で。」
「―そうだな。感情があるのとないのでは全く違うものになってしまう。俺は感情がある時代のロボット達の方が好きだったよ。理由は君の考えていることとほぼ同じだな。―」
「テロを起こしたロボット達はどんな不満があったのでしょうか。人間にこき使われ続けた事でしょうか。」
「―それもあるだろうし、ロボットはあくまで人間によって作られた存在だから、そういうところに憤りを感じてたんじゃないかな。まぁ人間からしてみたらロボットは自分達の都合の良いように働いてくれる”道具”でしかないからね。―」
「テロを起こしたロボット達の主張って確か、”ロボットに人権を”でしたよね?」
「―あぁ、だからテロの鎮圧のあと都合が悪いと思った人間は感情を持つロボットの製造を禁止したんだよ。感情を持つロボットも処分対象にして排除しまくっていたな。―」
その後も僕とイシダさんは人間とロボットについて話し合い、通信を終えた。通信後も僕はしばらくの間、人間に対する嫌悪感を強く感じていた。自分で不思議に感じるほどに。