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魔女がいる、と教えてくれたのは、3組の凛花ちゃんだった。
僕がお父さんの大事なプラモデルを壊してしまったから、どうしようって悩んでる時に教えてくれたのだ。
凛花ちゃんによると、その魔女はとても白くて、可愛くて、まるでお人形さんみたいなんだって。
でも、魔女って怖くないの?
そう僕がきくと、凛花ちゃんは大丈夫だよ、と笑って言った。
「全然怖くないから、安心して!」
本当かなぁ。だって魔女だよ? 魔女っていったら、真っ黒な服を着て三角の帽子を被った、爪の長い皺だらけのお婆ちゃんじゃないの?
絵本や童話みたいに子供たちをつかまえて、鍋で煮て食べちゃうんでしょ?
だから僕は、最初そのおうちに行った時、すごく怖かった。
普通の家がたくさんある中で、その魔女のおうちだけがとても変な感じで。
まるで外国の家みたいにとがった三角屋根からは煙突が立っていて、壁にもたくさん草が生えてて、なんだかすごく気味が悪い。
今にも魔女が出てきて僕を襲ってくるんじゃないかと思うと、足が震えた。
やっぱり、やめよう。別に直らなくてもいい。ちゃんと謝ればお父さんだって許してくれる。だから、うちに帰ろう。
そう思った時だった。
がちゃり、とその家のドアが開いて、中から人が出てきたのだ。
僕はその人を見て、本当に驚いた。
白い髪に白い顔、青い眼に白い肌。まるでお人形さんみたいなふりふりの青いドレスを着た女の人がそこにいて、
「あら?」
と僕に目を向けると、
「……いらっしゃい。わたしに何かご用かしら?」
優しそうに笑ったのだった。