「勿論、真っ当な男子も、美洋を狙っているけれど、行動に問題が無い男子もいるのだ。
だからまあ、具体的な名前は出さないでやるのだ」
「でも、それでは悠さんに迷惑がかかります」
「問題無いのだ。悠と美洋が知らないだけで、他は皆さん、それなりに御存知なのだ。草津先生や川俣先輩まで含め、ある程度、既知の事実なのだ」
ここで未亜さんが口を開く。
「前に、亜里砂が誰ぞに言った注意が怖かったのですよ。
『私は今、ここで君に注意する。その行動は控えろ。もし実施したのなら、私が責任を持って君を処分する。私に証拠は必要ない。今、私がこの台詞を言っているという事実が何を意味するか、よく考えた方がいい』
口調までいつもと変えていて、なかなか決まっていたのです。面白かったので、一言一句憶えてしまったのです」
「あれは未亜が気づいている事もわかっていたのだ。でも同じクラスの私が注意した方が、『いつも見ているぞ』という意味で怖いと思ったのだ」
おいおい。
完全に、僕の知らない世界だ。
「未亜は色々言っているから別として、彩香も怒らせると怖いのだ。廊下に立てかけてあった古材を凍らせ粉砕破壊した後、
『次はあなたが、こうならないよう、よく考えて』というのは、洒落にならないのだ」
うわあ。
でも彩香さんがそうするという事は、多分ターゲットが僕だったんだろう。
「何か色々知らなくて、申し訳無い」
「悠が謝る事は無いのだ。未亜を含め、皆、好きで手を出しているのだ」
ここで『未亜を含め』と、わざわざ未亜さんを強調したのは、何か理由があるのだろうか。
亜里砂さんは、おっとり系に見えるけれど、曲者だからな。
きっと何かしら意味がある事なのだろう、とは思うけれど。
「さて、前置きが長くなったのだが、恋バナなのだ。ちなみに対象は悠。何せ相手の女性はよりどりみどり。本命の彩香なのか、対抗馬の美洋か、実は未亜なのか、私は身体だけ目当てなのか。今夜は、ゆっくり追及するのだ」
おい。
いきなり、僕を攻撃か。
「さっき、曲者と思った罰なのだ」
亜里砂さん、容赦ないな。
「ついでに言うと実績では、何故か未亜が一歩リードなのだ。みんないるのに2人だけでこっそり話したり、挙げ句の果てに褒めまくり攻撃を受けたり。2人でいる時間は彩香が一番長いけれど、未亜の方が色々と濃密な時が多いのだ」
おい、ちょっと待ってくれ。
「あの辺は柾さんの話で、その前は美洋さんの話で、必然性があった訳で」
「という事は、本当なんだ」
彩香さんが、そう言う。
「おい亜里砂、誤解を受けるような言い方はやめてくれ」
「火の無い所に水煙、ボヤがあったら森林火災。それが私のモットーなのだ」
危なすぎるわっ!
「未亜、それが本当だったら、応援しますけれど」
「あれは、単に励まして貰っただけなのですよ」
「ついでに、もう少しいてくれと悠に請求するあたりが、なかなか可愛いのだ。どうやら悠にはその気持ちが通じなかったようなのが、残念なのだ」
亜里砂さん、容赦無い。
何せ表面思考を読み取るからな。
いくらでも攻撃材料は出せる訳で。
「それでこの話題が出た後、咄嗟に彩香相手に済まないと思ってしまうと言う事は、やはり本命は彩香なのだにゃ」
さらに、変な語尾変化までつけて、亜里砂さん無双が始まる……






