テラーノベル
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●セレンの魔法●論理がないと警察に、証拠不十分だ!と言われる。
ココアを口に運んだ瞬間、ベルが鳴った。
現れたのは、がたいの良い老執事だった。
老執事「助けてください、魔女様。娘が行方不明なのです。今朝、部屋にいなかった。昨夜十九日夜十時には確かに見ました」
屋敷には父、母、娘、老執事、使用人五名、そして護衛の警察官。
玄関で、老執事と警察官が一瞬だけ視線を交わした。
娘の部屋は整えられている。
北側の窓の下だけが丸く濡れていた。
昨夜は豪雨。
本来なら窓枠全体が濡れるはず。
これは、外からの演出。
庭の低木には猫の痕跡。
庭師「お嬢様は猫アレルギーで、低木側には近づきません」
娘の靴の泥は、作られたもの。
突然、窓が割れた。
銃声。
弾は水平に壁へめり込む。
床から約一・二メートル。
庭からでは角度が足りない。
屋根裏なら斜めになる。
石床に足跡はない。
私は柱に触れた。
……違和感。
けれど、確信にはまだ足りない。
柱の裏に、わずかな金属の擦れ。
指先に、糸が絡む。
その瞬間、私は理解した。
「柱の裏には小型の滑車が隠されていた」
柱の装飾は不自然に厚みがあった
セレン「犯人は屋内にいます」
庭から袋が発見される。
娘は十九日夕方に襲われていた。
老執事の昨夜十時は存在しない。
誘拐は偽装。
だが、、。
袋の結びは警察式の二重止め。
老執事「警察官殿は几帳面で、荷物もいつも同じ結び方をされる」
私は警察官を見る。
彼の懐は不自然に重い。
弾は、正確だった。
柱の位置と完全に一致していた。
私は静かに言う。
セレン「あなたは、霧の中で犯人を追ったと言いましたね」
沈黙。
セレン「三メートル先も見えない霧の中で、どうして角を曲がる瞬間が見えたのです?」
凍る沈黙。
逃げていない。
追っていない。
最初から、動いていない。
柱の陰で、糸を握っていただけ。
糸は滑車を通され、柱の影から引ける構造だった
私は一歩近づく。
セレン「あなたは守る側ではなかった。
機会を待っていただけです」
警察官の指が震える。
ヘリが到着する。
守る者が堕ちる瞬間。
今回の事件は、屋敷の家族に対する不満が原因だった。
セレン「三年前、警察官は屋敷から不当な処分を受けていた」
セレン「娘は既に地下室で死亡していた」
私は目を閉じる。
真実は、いつも静かだ。
守る者が堕ちる瞬間を、私は何度も見てきた。
真実を暴くたびに、何かを失う。
そして、そのたびに、私の中の何かも、少しずつ削れていく。
だから、私は、探偵事務所を閉めた。
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