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あの日のデートから3日、8月20日の朝。
僕は、あの日のデートのことが未だにフラッシュバックしてしまう。
あの日、僕は、デートの最後の方に美雪と呼び捨てで呼んだ。前呼び捨てで呼んだ時から、次呼び捨てをする時は、美雪に人生をかけれる覚悟をもってからだと、決めていたため覚悟ができたあの時に呼んだ。
僕は見れた、1回目呼び捨てした時には見れなかった、呼び捨てされた時の美雪の顔を。
顔が真っ赤だった。夏の夕方、夕日に照らされただでさえ少し赤い顔がさらに赤くなっていた。
美雪の顔がいつもより一段と可愛く見えた。
中学時代、ひとりで座っていてどこからか聞こえてきた、男子集団の会話をその時思い出した。
「彼女の赤面ってめっちゃ可愛くね!?」
「それな、まじでわかるわ。」
「お前らやっぱ最高の友達。ほんといいな」
この会話が、忘れていた、記憶の片隅にもなかった、この会話が何故かあの瞬間思い出した。僕も、この瞬間、顔が真っ赤だっただろう。美雪がなんで言った方も真っ赤になってんのよ。と言いたげな目で見てきた。その顔も上目遣いになっていて可愛かった。そんなこと、美雪は意識していなかっただろうが、無意識でも可愛かった。
「可愛いな」
僕は、あの日つい言ってしまっていた。いや、言う気があったのかもしれない。
美雪「あんただってかっこいいよ」
まさかの返しだった。こんなこと美雪から言われると思っていなかった。まだ部活に入って1ヶ月と少ししか経っていないのになぜこんなに仲良くなった感じで言われたのか、僕は分からなかった。
美雪「私がなんで可愛いって言ったか理解して無さそうな顔してるね。」
「….だって、部活入って少しだし、なんで言われるか分からないのは当然だろ。」
僕は答えた、真夏の夕日、夕方にも関わらずかなり暑い、ほんの少しだけ汗ばむような暑さだった。
美雪「じゃあ、こうしよ!….私がかっこいいって言った理由、教えてあげる。だから、その、かっこいいって言った理由分かったら、その、ね!わかるでしょ!」
「….告白する。理由分かったら告白する。だから、それまで待ってて。」
美雪「うん!気長に待っとくよ」
僕は、美雪と約束した。セミの声が少し止んだ気がした。そして、少し涼しい風が吹いた。
美雪となにか大事なことがあると毎回こんな感じの風が吹く気がする。僕はこんな風の気まぐれも大事にしながら理由を探そう。そう思った。しかし、何故かその風は毎回一瞬だ、美しい、それでいて儚い、空から降る雪のような、目にうつるのは一瞬、それでいて何かを感じるようなあの雪、そんな風だった。
僕の後ろにはまだあの涼しい風を受けていない人々がいる、それを思うとなにか言葉に表せない不思議な感情で溢れた。
僕たちはそのまま、ほんのり赤い顔をしながら帰った。
「またね」
僕は短くそう言った。内心ではもう恥ずかしすぎて逃げ帰りたいような、まだ話したいようなそんな気分だった。
美雪「また明日!」
明日は会わないのに美雪はそう言った。なぜそんなことを言うのか、僕にはよく分からなかった。
「明日は会わないでしょ?なんでまた明日なの?」
美雪「いいの!また明日で!」
美雪は無邪気な子供のように言った。周りに人が少し多かったため若干恥ずかしかった。
「理由教えてよ、教えてくれないのはかっこいいって言った理由だけにして。」
美雪「だめ、いちいち理由なんて教えてあげないから」
「察してってやつ?」
美雪「違う、いつかわかる時が来るから。」
僕はこの日いちばんの困惑だった。美雪が何を言っているか全くと言っていいほど分からなかった。子供によくある意味が破綻している文のようだった。
「わかったよ、意味が分かる日を信じて待っとくよ。」
美雪「じゃあもう1回行くよ、また明日」
「また明日。」
また明日。意味は分からない。ただいい気分がした。次会った時の最後にもこの言葉を言おう、そう思えるような言葉だった。不思議とさようならという感じはしなかった。まだ美雪がそこにいるような、そんな不思議な余韻を感じた。
そして、現在。その日のことを思い出しては顔を赤くして枕に向かって叫んでいた。
何回かさば姉に「うるさい!彼女にでも振られたんか!」と言われたがめちゃくちゃ否定したら少し引きながら出ていく。を繰り返していた。
早苗「で、いつまでもこんなこと繰り返すんじゃなくて何があったか話してみな。」
「いいから!話さないから!」
ほんのり赤い顔をしたままさば姉の方を向いてしまった。絶対バレた、それでもさば姉はあえて何も言わないのか、はたまた本当は気づいていないのか、どちらか分からなかった。さば姉は本当にポーカフェイスが上手い。僕は昔っからほんっとに苦手でさば姉にカードゲームなどで勝ったことがない。
僕が何もないと言ったからなのかさば姉はちらちら僕の顔を見ながら自分の部屋に戻って行った。
「次いつ遊べるかな。」
新しいような古いような、よく分からない白い天井を見ながらそうつぶやいた。その声は部屋中に反響しきる前に消えてなくなった。
連絡来ないかな….心の中でそんなことを考えながらベッドの端に置いたスマホの方を向いた。黒い画面、少し指紋の後が見えるくらいの画面、その少しの指紋が気になりベッドから立ち上がって拭くものを取り拭き取った。
画面が綺麗になる。少しニヤッとした。なんだか心の中のモヤのようなものが少し晴れた気がした。
黒い画面が切り替わった。美雪からの連絡か胸を高鳴らせながら画面を見た。公式アカウントからだった。くそっ、少しイラッとした。
せっかくさっき画面を綺麗にして少し楽になった心に怒りが沸いた。
僕はスマホを持ち上げ、投げようとして止める。こんなことをしても怒りは晴れない。少しはマシになるかもしれないが完全には晴れない。完全に晴れるなら投げるかもしれない。
その時、ピロンっとスマホがなった。次も公式アカウントなら投げようかかなり迷った。
どうせ公式アカウントだろ、そう思いながら画面を見た。
美雪からだった。
美雪「好き。」
その短い文だけ送られてきていた。
花月夜れん
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コメント
1件
もう最高すぎて叫びそうなんだけど!!😭💕💕 呼び捨てからの「可愛いな」、そして美雪からの「好き」…展開が完璧すぎて鼻血出るかと思ったよ!!✨ 修二がスマホ投げそうになった後の美雪からのライン、あの一瞬の静けさからの「好き。」は反則すぎる!!もう完全にやられた…🥺💘 この2人の距離感と、まだちゃんと伝わってない想いがもどかしくて、でも尊くて、続きが気になりすぎて今夜眠れないよ…!!ねらちさん、本当にありがとうございます!!次話も楽しみにしてます!!🌸🔥