テラーノベル
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美雪から送られてきた連絡を眺めていた、既読はつけた。返事はどうしよう、外は真昼、窓から入ってくる陽だけでもかなり暑い。部屋は冷房が25℃くらいでかかっている。少し寒いくらいが夏休みは丁度いいのだ。
「急にどうした?」
「すき。」美雪が送ってきたこのメッセージには反応せずとりあえず意図を聞くことにした。こんなことをしてなにか意味があるのかと聞かれたら少し回答に悩む。
美雪「別に、言いたくなったから言っただけ。」
美雪のメッセージは淡々としていた。
「なにそれ、気になるじゃん」
美雪「気にするなばか。」
「バカ言うな」
美雪「sorry」
「反省ゼロだな」
美雪「反省してます。」
そんな、なんて事ないメールを3時間くらい続けた。日が落ちるか落ちないかくらいの時間。
「この話の最初覚えてる?」
美雪「私が好きって言ったやつ」
「僕も好き」
美雪「うん、知ってる。」
「知ってて言ったの?」
美雪「ちょっと確認したかっただけ」
「なんで?」
美雪「寂しかったから」
「僕の家来る?」
美雪「明日行く、変なことしたらぶっ飛ばすから」
「それは明日の僕に聞いてくれ」
美雪「絶対変なことするやつじゃん」
会話は止まることを知らなかった。いつの間にか日は沈み月がかなり高いところにあった。
深夜だった。連絡してから3分経った、これまで返信に時間が空くことなんてなかったふたりのメールが止まった。2人とも寝落ちしていた。
次の日、快晴。
美雪「起きた?」
「起きた、今日何時に来るの?」
美雪「今すぐ行く」
「化粧とかしないの?」
美雪「寂しい」
このメールを見たら誰もが彼女と言うだろう。しかし、まだ僕たちは付き合っていない、この妙な関係が少し嫌いで少し楽しかった。
心の奥底では早く付き合え!と言っているがまだ早い、そんな気がした。
ピンポーン
僕の絡まった気持ちとは正反対のような透き通った間抜けな音が鳴った。
「入って」
ドアを開け体を半分だけ出して外を見る。すっぴんの美雪だった。すっぴんなのにいつもと余り変わらないような気がした。元から可愛いんだな。僕は確信した。
美雪「お邪魔します。」
「ソファとか好きに座って 」
美雪「親とかは?」
「仕事でいない」
美雪「やっぱり変なことする気でしょ」
「しないから」
美雪「ほんとに?」
「うん」
美雪「じゃあ私からする」
「したいってことじゃん」
美雪「寂しいもん」
「甘えん坊だな」
美雪「部屋どこ」
「僕の部屋?」
美雪「うん。」
「2階の端っこ」
美雪「行く」
「散らかってるぞ?」
美雪「行く」
「飲み物持っていくから先行ってて」
美雪「やだ、一緒行く」
「なんか最近甘えん坊になってきたな」
美雪「うるさい、昔からこうだし」
付き合いたてのカップルくらいイチャイチャしていた。この関係に2人とも特に違和感は持っていなかった。お互いそういうものなのだ。と割り切っていた。
美雪「部屋、綺麗なんだね」
「まあな」
美雪「エロ本探そ」
「ないぞ」
美雪「あるかもしれない」
「ないから」
美雪「….つまんないの、性欲とかないの?」
「ないわけないだろ」
美雪「ちょっとキモイ」
「美雪が聞いたんだろ」
美雪「….美雪って呼ぶようになったんだ」
「….まあな」
美雪はえへへ、とにやけていた。子供のような表情だった。可愛いな。美雪の顔を見る度そんなことを考えていた。性欲まみれだな僕って。美雪の前だと隠れていた自分がわかる、そんな気がする。
美雪は僕の部屋の床にクッションを敷いて座った。
美雪「もうすぐ夏休み終わっちゃうね」
「たしかにな、すっごく短いな。」
美雪「課題、終わった?」
「一応終わらせた。」
美雪は僕のベッドに寝っ転がって毛布にくるまった。
美雪「ここ匂いいっぱいする。」
「当たり前だろ、僕のベッドなんだから 」
美雪「ね、名前呼んでいい?」
「僕の名前知ってるのか?」
美雪「知ってるよ」
「自分の名前か、さば姉以外に呼ばれたことないかも。」
美雪「さば姉って誰」
「姉ちゃん」
美雪「なんだお姉ちゃんか」
「なんだと思ったの?」
美雪「彼女とか。」
「美雪好きなのに浮気とかするかよ 」
僕は美雪の横に寝っ転がった。シングルベッドにふたりで寝転んでいた。
美雪「近い、汗かいちゃう」
「じゃあ冷房強めよ」
美雪「うん。早くそうした方がいい」
冷房を強めた。ひんやりとした冷たい風が吹く。夏の外のあの熱い風とは全く違う。冬のような風。そんな風に吹かれながら僕も美雪は抱き合っていた。
美雪「あったかいね」
「うん。あったかい」
美雪「なんか、怪しい雰囲気だね」
「そういうこと言うから怪しい雰囲気になるだろ。」
美雪「….しないの?」
「付き合ってからだ」
美雪「けち….」
甘々な雰囲気で冷房は効いているはずなのに体はすごく暑かった。
美雪「大好きだよ榎下 京斬くん」
顔が真っ赤だった。僕だけでなく美雪も、2人揃って体温が高くなっていった。
「僕も大好きだよ教時 美雪」
汗をかいていた。なんのために冷房を強めたのか、2人にはもうそんなことどうでもよかった。一緒にいられる幸せを噛み締めながら眠りについた。
花月夜れん
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コメント
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うわあ……もう、この距離感がたまらないですね(笑) 「好き」って送ってきて、でもすぐに「確認したかっただけ」って引く美雪さんの不器用さとか、呼び名が変わるところで照れ合う二人とか、全部が眩しくてちょっと切なくなりました。 最後にフルネームを呼び合ったシーン、心臓がきゅっと鳴りました。ずっとこのままでいてほしい……!