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◇◇◇◇
晴子は腰に嵌めたギブスの位置を直しながら、玄関の掃き掃除をしていた。
医師の診断は、大腿骨にヒビ。全治2週間とのことだった。
当分は彼とのセックスもお預けだ。
腰を摩りながら、塵を外に出したところで、
「あれ、おはようございます」
隣のドアから城咲が出てきた。
「おはよう」
晴子は慌てて体勢を整えると、彼が手にしている大きなトランクケースを見下ろした。
「……あら、旅行に?」
聞くと城咲はトランクケースを見下ろして微笑んだ。
「いえ。ちょっと質のいい肥料が手に入ったので、実家の方の花壇をいじりに」
その言葉に晴子はホッとしながら微笑んだ。
「なんだ。他に若い女でもいるのかと思った」
そう言うと、城咲はビー玉のように丸い瞳を細めて晴子の腰を引き寄せた。
「まさか。僕にはあなただけですよ」
その唇が晴子の唇を吸う。
「ん……」
晴子はわずかに開いていた玄関ドアを閉めると、
その首に腕を回し、若い唇を味わった。