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それがわかってて、私は葵として瑛太と結婚して遥香を産んだの。
幸せな時間は長くは続かなかったけど、私は本当に幸せだった。
世界で1番幸せだったと思ってる」
スクリーンの中にいる葵だと思っていた亜季ちゃんは、口を押さえて必死に声を殺し泣いていた。
「亜季ちゃん…だったんだね。全然気付かなかった。あんなに好きだった亜季ちゃんなのに全く気付いてやれなかった。ツラかったでしょ?」
「ちょっとはツライと思った事もあったけど、いつもどんな時も私の事を想い、私だけを見ていてくれた瑛太が傍にいてくれたから乗り越えられた」
「そうだったかもしれないけど…」
「私は、佐藤亜季でも佐藤葵でもどっちでもいいの。瑛太と一緒にいて、あなたを1番近くで見ていられるなら、他の人間として生きていたとしても構わないの」
「亜季ちゃん…ぼっ‥僕は君に何もしてあげられなかった。
君がこの世界から消滅しまう未来を見てしまっても…‥
君の体が日に日に弱っていく中でも…‥
君が僕に隠れて毎晩泣いていた時も…‥
君の体がボロボロで限界を超えていて、とてもじゃないけど未来の僕たちに何かを残せるような体じゃないとわかっていても…‥
僕は、君の為に何1つしてあげられなかった。
ごめん…‥
僕なんかと一緒になったばっかりに…‥
僕からの最後のお願いを聞いてくれるかな?
前にも言ったけど、別れて別々の人生を歩もう。
もしかしたら助かるかもしれない。
能力者の君なら、きっと最善策が思い浮かぶはずだ」
「瑛太、ごめんね。そのお願いだけは絶対にきけない」
「僕は亜季ちゃんに生きていて欲しいんだよ。生きて幸せになって欲しいんだ。例え、亜季ちゃんの隣に他の男性がいたって、幸せにしてくれるなら僕じゃなくても構わない。僕に幸せになった亜季ちゃんの姿を見せてくれよ」
「・・・・・」
「亜季ちゃん!」
「瑛太…私、佐藤亜季はあなたが好きです。愛しています」
「わかってる…わかってるから僕の最後のお願いを聞いてくれ!」
「瑛太、ありがとう。その気持ちだけで十分だよ」
佐藤葵から解き放たれた亜季ちゃんの表情は、まるで高校生の時の亜季ちゃんそのものだった。
「亜季ちゃん、僕は君がすっ‥」
「瑛太……私、わかってる。わかってるから…言わないで。その言葉は私じゃなくて、もっと言ってあげなきゃいけない人がいるでしょ」