テラーノベル
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小柄で浴衣が似合って・・・元気いっぱいで、そして常に自分のことを気にしてくれている、愛情あふれる温かい桜が好きでたまらない
こんなに新鮮で心ときめく感情に、どうすれば抵抗できるだろう、出来れば偽装などチャラにして本当の夫婦になりたくてしかたがない、この思いは日に日に強くなる、ぐっとジンは奥歯を噛み締めて、そっと桜に顔を近づけた
ペロッ・・・
「ひゃぁっ!!!」
ジンに右耳を舐められて、不意を突かれた桜が飛び上がった、温かく湿った舌先の感触に全身に電流が走る
「なっ・・・なっ!何するんですか!」
頬を染め、舐められた耳を押えてジンに咎めるような目を桜が向ける
「ほらな!不意にそんなことされたらびっくりするだろう?お返しだ!」
ジンがいたずらっぽく笑った、その表情につられて桜も笑った
イチャイチャ・・・
「んもう~!それなら、えいっ!お返しのお返し!」
桜が脇腹をつんつんとつつく
「ワハハハ!脇をつつくのやめろよ!やったな!それならこっちも!お返しのお返しのお返しだ!」
「キャハハハ!くすぐったい!やめて~」
―ああ!彼の笑い声って大好き!―
夕暮れの海風を受けて、二人はいつまでもお互いをつついてふざけ合った、祭りの終わりを告げる太鼓の音が遠くから聞こえてくる
暮れていく空の下、祭りの余韻に包まれながら、ジンと桜は偽装という名の境界線を少しずつ、確実に超えて
互いの心の温もりが近づくたび、「契約結婚」という言葉が色褪せていった
.。. .。.:・
【その頃の山田旅館】
「曲者じゃ!!出合え、出合え!」
米吉がまだ神楽の衣装の袴を着たまま、中庭で誰かを取り押さえて暴れている、米吉じいさんは祭りの興奮と酒が入り混じって、まるで時代劇の侍のような剣幕だ
「うちの客じゃないぞ!」
そこへ三人の従業員と二人の中居もやって来て、米吉達を取り囲む、何事かと駆けつけた面々の顔には驚きと困惑が浮かんでいる
キャーッ
「今朝からずっと中庭でコソコソ旅館を嗅ぎまわっていたのよっっ!変態っ!」
中居の一人が金切り声を上げた
「警察を呼べ!」
「逃げるな!」
「変質者だ!」
取り押さえられている男は50代半ばの細身の体躯に、まるで「くいだおれ人形」のような丸い眼鏡をかけ、この熱いのに黒いスーツに身を包んでいる、額には汗が滲み、丸眼鏡がずり落ちそうになっている
「ま・・・待ってください!私は怪しいものではありませんっ!いててて!」
必死に「入国管理局の捜査官浜崎」は米吉に羽交い絞めにされて首を絞められているのを解こうと抵抗する
しかし80歳を超えた老人とは思えない米吉の怪力に、なすすべもない
「ご用じゃー!ご用じゃー!」
米吉の声は完全に酔っ払いのそれだった
「米吉じいさんを押えろ!」
「まだ酔っとるぞ!」
従業員達が慌てて米吉を引き離そうとするが、老人は驚くほどの力で浜崎を離さない、浜崎の周りにはビデオカメラとクリップボード、メモ帳などが散らばっている、調査の証拠品が無残にも地面に転がり、砂埃をかぶっていた
「充分怪しいわ!」
「コソコソ旅館を嗅ぎまわっていったい何のつもり?」
口々に中居達も言う、首を絞められている浜崎は今や顔面蒼白だ、恐らくこの老人に崖に連れて行かれて海へ投げ込まれると思っているのだろう
まぁ、場合によってはそうなるかもしれない、実際、米吉じいさんの目は喧嘩祭りの余韻冷めやらぬ、血走っている
「わっ・・・私は大阪のビザ入国管理局の審査官です!パク・ジンさんと山田桜さんの偽装国際結婚の疑いの調査でやって来たんですってばっ!!」
浜崎の必死の叫びが、中庭に響き渡った、一瞬、その場の空気が凍りついた、しかし次の瞬間―
「こんの!狼藉者めがぁ~~!」
米吉が再び浜崎に襲いかかろうとした
「狼藉者はじいさんじゃ!」(※狼藉者→乱暴を働く者)
「酔うちょる!酔うちょる!」
「寝かせろ!寝かせろ!」
コメント
3件
おお〜まだ疑ってるの?ご苦労様なこって🤣
ラブラブ♡イチャイチャモードだったのにー 浜崎さんの登場で不穏に💦 ずーっと監視してたのかしら?? 心配だわ:(´◦ω◦`):
🤣🤣🤣🤣🤣🤣 もうお腹痛すぎて息ができません😭 浜やん🥸来たか〜😓 イチャコラ帰ってさぁ大変!!!なるなぁ🤔