TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

刻の碧律

一覧ページ

「刻の碧律」のメインビジュアル

刻の碧律

107 - 第3話:はじめての碧い料理

♥

42

2025年04月14日

シェアするシェアする
報告する

第3話:はじめての碧い料理




🏥 シーン1:人間、来訪す


昼時の《碧のごはん処(ミドリ)》に、見慣れないドクターコートの姿がひとつ。


男の名はイチ。かつてフラクタル研究機関に勤めていた技術者。現在は、碧族に関する医療技術の中立支援者として動いている。


白衣の下に古い端末、首には検査器。黒縁の眼鏡越しに、店内を不安げに見回す。


「……碧く、光ってる。これが噂の“碧素料理”……」





🧑‍🍳 シーン2:青、食べられるように


カウンターの奥から、タエコがにこっと笑って現れる。


「お客さん、人間やな? 初めてかいな? だいじょーぶや、うちは“中和フラクタル処理済み”のメニューも置いとるよ」


すずかAIが柔らかく告げる。


「非碧族体質、確認。消化補助・精神共鳴緩和処理を実行します」


タエコは調理端末に向かってコードを入力する。


《FRACTAL_COOK_MODE=HUMAN_ADAPT》《FLAVOR=EASE》


青く光るオムライス、碧素スチームの野菜、そして記憶共鳴効果を抑えた小鉢。

これが“人間でも食べられる碧料理”だ。


「“やさしめ碧定食”、おまたせ〜!」





🥢 シーン3:ふと、味から過去へ


最初の一口に、イチは顔をしかめる。


だが、二口目。三口目。


「……これ、あのときの、味だ」


彼の記憶に浮かぶのは、十年前。研究所に潜伏していた碧族の青年と、ひととき交わした炊き込みご飯。


“味”が思い出させる。忘れかけていた出会いが、ゆっくりと脳裏にほどけていく。


彼は箸を置き、深く、頭を下げた。


「……これは、確かに“心に届く料理”だ。ありがとう」


タエコは笑う。


「ほな、次はもっとガッツリいこか。碧族でも人間でも、食卓では“腹ぺこ”が平等や」





はじめての碧い料理が、あの日の記憶を、やさしく照らした。

この作品はいかがでしたか?

42

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚