鋼谷と篠田が飛行機から降り立つと、島の地面は湿った土の香りが漂っていた。周囲は一面の荒れ地で、古びた建物と小道が散らばる。だが、その景色には一切の平穏が感じられなかった。
「着陸成功だな。」篠田が周囲を警戒しながら言う。
鋼谷は冷静に周りを見回す。「冥王会の本部はすぐそこだ。だが、気をつけろ。警備が厳しいはずだ。」
島には一切の遮蔽物がなく、冥王会の施設までの道のりは見通しが良い。しかし、それが逆に罠であることを鋼谷は理解していた。彼らが進む先には、すでに冥王会の精鋭たちが待ち構えているだろう。
「さっさと終わらせよう。」篠田は短く言って、先を歩き始めた。鋼谷もそれに続く。
数百メートル進んだところで、冥王会の警備兵たちが現れる。彼らは鋼谷と篠田の姿に気づき、すぐに警戒態勢に入るが、予想していた通り、完全に撹乱されていた。ロケランの攻撃と、鋼谷たちの飛行機による降下が引き起こした混乱で、冥王会はまだ内部で指揮系統が整っていないようだ。
「行け。」鋼谷が一言。
篠田は無言で反応し、瞬時に警備兵たちに飛びかかる。その動きはまるで荒波のように鋭く、あっという間に数人を制圧する。鋼谷もその後を追い、次々と現れる敵をなぎ倒しながら進んでいった。
戦闘の最中、鋼谷の目に一人の男が飛び込んできた。それは冥王会の幹部の一人、雷堂だった。鋼谷はその名を知っていた。彼は冥王会の「戦闘班」を率いる凄腕の異能者だ。
「待て、鋼谷。」雷堂が立ちはだかり、鋼谷に向かって叫ぶ。「ここで止めておけ。冥王会を壊すことなどできるわけがない。」
鋼谷は無言で雷堂を見つめた。鋼谷の目には、雷堂が冥王会の名のもとにやってきた「狂信者」であることが分かっていた。
「お前の言うことに耳を貸すつもりはない。」鋼谷は冷徹に言い放ち、素早く雷堂に近づいた。戦闘は瞬時に激しさを増し、二人の間で異能を駆使した戦いが繰り広げられる。
雷堂の異能は「雷撃」、その力は雷のように強力で、鋼谷に向かって突如として電撃を放つ。しかし、鋼谷は冷静に回避し、素早く間合いを詰める。すでにこの戦いは彼にとって経験豊富なものとなっており、雷堂の攻撃は通用しなかった。
「もう終わりだ。」鋼谷は一気に雷堂に接近し、彼の防御を打破する。雷堂が驚く暇もなく、鋼谷の手刀が雷堂の喉元に迫り、次の瞬間には彼の動きが止まった。
「敗北したか、雷堂。」鋼谷は冷徹に言った。
その後、篠田と共に冥王会の本部に向かい、最深部に到達した二人は、冥王会のトップ、冥王自身と対峙することとなった。冥王会の全勢力が集結する中、鋼谷と篠田は冷静に戦況を見守りながら、最終決戦を迎えることとなった。
「お前の時代は終わりだ。」鋼谷は冥王に向かって言った。
冥王は鋼谷をじっと見つめ、冷笑を浮かべる。「終わりか。お前がそれを言うのか。だが、俺の異能はお前の想像を超える。」
「それを確かめてやる。」鋼谷はその言葉と共に、冥王に向けて一歩踏み込んだ。
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