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前回のシェルターを出てから5日ほど過ぎた。
バッテリーが持つのはせいぜい一週間ほどなので、そろそろ次のシェルターにお邪魔してバッテリー補給をしないといけない。そう思っていると前方に黒い屋根のシェルターが見えた。
ヘンダーソン夫妻のシェルターと比べると屋根が汚くなっている。メンテナンスが来ていないのだろうか。人が住んでいればいいのだが。
僕はシェルターに繋がるドアをノックした。しばらくするとドアの鍵が開く音がした。しかし向こうからドアを開けてくれる気配はない。僕は恐る恐るドアを開けた。
ドアの向こうには男がいた。歳は40歳くらいだろうか。彼には左手が無かった。しばらく僕が硬直していると、男が口を開いた。
「人が訪ねてくるわけがない。あんたロボットだろ。どうしたんだ?」
早くもロボットだと認識されて少し戸惑ったが、僕は前回のシェルターと同じことを男に頼んだ。すると男は、
「まぁそういうことなら部屋に入りなよ。」
と、シェルターの中に通してくれた。シェルターの中は薄暗く、あまり手入れがされていないようだった。
部屋に入るとベッドが置いてある。ベッドの上には少女が寝ていた。18歳くらいだろう。僕がベッドを見ていると男が話しかけてきた。
「俺の娘だよ。病気で足が動かないんだ。今は寝ているよ。」
僕が「医者に診てもらわないのですか。」と聞こうとしたとき、きゅうに頭が重くなった。男を見るとスピーカーがついたタブレットを持っている。
「君たちが動けなくなる超音波だ。」
男の言葉を聞いたのが最後、僕の意識は途切れてしまった。