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気づくと僕はベッドに張り付けられていた。両手両足に枷がかけられていて動けない。
「もう気がついたのか。やはりこのタブレットの効き目は悪いな。」
横を見ると解体されたロボットが転がっている。僕もこれから解体されようとしているのだ。
油断していた。そもそもこんな世の中で前回の夫妻が優しすぎたんだ。
「な、なぜ?こんなことをしているんだ!?」
僕が叫ぶと男はこう返した。
「俺は左手を失った。暴徒化したロボットに襲われてね。それだけでロボットを恨む理由にはなるだろう?」
男は続ける。
「障害を持った俺を愛してくれた女性もいたんだよ。結婚して娘もできた。だが娘の足が動かなくなった。何度も医者にシェルターに来てもらおうと嫁に言われたよ。だが今医者を呼べば遠隔操作の医療用ロボットの医者が来る時代だ。だから俺は断り続けたんだ。」
うすら笑いを浮かべながら男はさらに続けた。
「それでも嫁は俺に無断で医療用ロボットを部屋に入れたんだ。だからそのロボットをバラした。その次に来たやつもその次に来たやつもバラした。それを続けているうちに嫁がシェルターからいなくなっていた。ガスマスクが一個消えていたよ。」
この人はロボットを恨んでいる。そしてシェルターに来たロボットを片っ端から解体しているんだ。
男は電動ノコギリを手に持ち、僕にこう言った。
「だからおまえもバラす。さよならだ。」