「う、カジノ……」
カジノと聞いてあまりいい響きがない、私が奴隷になった元凶ですから……
「あ!しまっ__」
私の顔色を見てか、姫ちゃんは「しまった!」という顔をして自分の口に手を当てて塞いだ。
この前、全てお話しした時に父親がギャンブル依存なのを話していたから思い出したのだろう……
フフッ……だけど大丈夫ですよ。
その事についてはもうリュウトさんとちゃーーんと、話しましたから。
「大丈夫ですよ、毒薬変じて薬となる……ギャンブルものめり込みすぎなければ楽しい場所と聞きましたから」
「ほんと?無理しないでいいんだよ?アカネちゃん」
うーん、まだ気を遣われてる感じがしますね……こう言う時、妹ちゃんならどう言うんでしょう……うーん……こうかな?
「大丈夫!やるならとことん!荒稼ぎだ!」
と、なるべく妹ちゃんの口調とトーンで言ってみると、その言葉を聞いてポカーンとされた。
「そ、そうだね!そうこなくっちゃね!」
どうやらうまくいったみたい!流石妹ちゃん!
そんな感じ、私達はカジノに行くことになりました。
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《建築ウッド》と言う特殊な木で作られた建物の扉が自動で開かれる。
すると中から耳を塞ぎたくなるような大きな音が外へ聞こえ始める!
うにゃぁぁー!耳がぁ!
「初めてなら慣れないよね」
姫ちゃんの声も全く聞こえない!
「あ、聞こえないか」
姫ちゃんは何やら小さな玉を転がしているテーブルを指さした。
あそこに行こうと言う事なのかな?
近付くとそのテーブルに居たおじいちゃんが話しかけてきた。
「お嬢さん、こう言うところは初めてなんじゃろ」
「え!?あ、はい」
不思議とおじいちゃんの声は聞こえやすく。
何より、そう言う表情をしない様に隠していたのに見抜かれたのにビックリした。
「ほっほっほ、アヤカシ達には慣れているみたいだが、対人間にはまだまだ甘い様じゃの」
アヤカシと言うのはこの国の魔物の呼び方です。
当たり前ですが国によって違うし、姿形も結構違います……ちなみにミクラルではモンスター。
「ほっほっほ、これはじゃな……転がした玉をどこに入るか当てるゲームじゃよ、シンプルで簡単じゃろ?」
そういいながら、おじいちゃんはギルドカードをテーブルに差し込む。
すると目の前に予想を選択する映像が宙に浮かび上がった。
「それと……ほれ、お主たち、これを使え」
「これは?」
見たこともない魔法陣の描かれた魔皮紙ですね?
「使ってみると分かる」
ふむ?
とりあえず魔皮紙に魔力を通すと魔法陣が展開され腕にくっつく。
「__っ!」
すると周りの雑音がかき消され獣人達の声がよく聞こえる様になった。
まるで賑やかになった酒場の様だ。
「これは……すごい」
「ほっほっほ、獣人専用の魔皮紙じゃ、獣人は耳が良いのが多いからのぅ」
「なるほど、ありがとうございます」
「例は良い良い、やってみるか?」
確かに、これなら変なルールも無くて大丈夫みたいですし、姫ちゃんは……って!?もう座ってる!?
「アカネちゃん始まっちゃうよ?早く早く」
「は、はい!えと、これでいいのかな?」
姫ちゃんの隣に座ってギルドカードを差し込む。
「あれ?」
「どうしたの?」
「いえ、表記が50,000までになってまして……おじいさんの所ではそんな制限なかったと思うのですが」
「わしは人間じゃからの」
「人間と獣人で違うんですか?どうして?」
「…………知らん」
おじいさんは黙った後にそう言った。
きっと、何かを知ってるのだろうがこれ以上聞くなと言うことだろう。
迷惑かけるのも悪いので軽く謝って自分の方に集中する事にした。
「アカネちゃんどうする?私は取り敢えず最初1万で__」
「では、私は5万を赤に入れます」
「アカネちゃん!?」
5万など安いものだ、1つの依頼が最低でも20万ほど入ってくるので貯金がいっぱいある。
私にとって痛くも痒くもない!
ディーラーの獣人はみんながベットしたのを確認し____
「では、始めます。」
運命の玉を転がした。
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