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文才の化け物(褒め言葉)
そして土曜日になった。
私が海に向かうと既に海橋くんは居た。
「あ、雨宮さんこっちこっち!!」
そう言いながら手を振っている
海橋くんの首にはカメラがぶら下がっていた。
「じゃあこれに着替えて欲しいんだけど..」
そう言い見せられたのは服。
「これはね、水の中に入れる服なんだよ!!」
海の中?もしかして海の中で写真を撮るとか?
カメラは壊れないのだろうか。
「あ、安心して!!カメラに水がかかっても大丈夫だから!!」
なら安心だ。
その前に、何故海橋くんがここにいるのに
雨は降ってこないのだろうか。
「雨….なんで降ってないの?」
「あ、大丈夫だよ。後で降らすから」
そう言って海橋くんはウィンクをした。
“ 降らす ” ?
降らすってどうやって?
もしかして海橋くんは超能力者とか…..
そんなわけないか。
「もうちょっと右に行ける?」
「あと、水面に向けて手を伸ばして」
私は頷いた後、海橋くんの指示に従った。
案外、水中で目を開けるのは
慣れたら痛くないらしい。
というか海に差し込む光は
こんなに綺麗だったなんて知らなかった。
やはり自然は好きだ。
少しすると海橋くんはカメラを構えて
写真を何枚か撮った。
そういえば雨はいつ降らすのだろうか。
そう思った瞬間、
雨は海橋くんが言った通り
ちゃんと降ってきたのだ。
するとまた、海橋くんは何枚か写真を撮った。
そして、私に海から上がるよう合図をした。
「見て!めっちゃ綺麗じゃね?」
こんな風に興奮している海橋くんは初めて見た。
とても子供みたいだ。
そう思いながら私は海橋くんが撮った写真を見た。
1枚目は、水面に光が反射してキラキラしていた。
しかも、私の周りには光が纏っているようにも見えた。
だが、2枚目は薄暗い海の中にいる私は
どことなく儚げな雰囲気をしていた。
まるで何もかも諦めてしまったように。
「…すごい」
そう思いながら見ていると
私は思わず声を漏らしてしまった。
「でしょ!?」
「やっぱり雨宮さんと自然って映えるよね!!」
そう言い海橋くんは笑った。
こんな写真をまた見てみたい。
私はいつしかそう思うようになっていた。
でも、海橋くんとの約束は
写真を1枚撮るということ。
「雨宮さん?どうしたの?」
私がそう思っていると海橋くんは優しい声で
私に話しかけた。
「…..約束の写真って1枚だけ?」
私がそう言うと海橋くんは驚いていた。
「え、逆に1枚だけじゃなくていっぱい撮っていいの?」
「全然いいよ?もっとこういう写真見てみたいし」「
本当に!?じゃあまた撮ろ?!」
「あ、すぐ連絡とれるようにメール交換しない?」
「いいよ」
「ありがとう!!」
そう言って私達はお互いのメールを交換した。
「じゃ、また明日学校で!!」
「あ、待って!!」
「なに?」
「雨…どうやって振らせたの?」
「う~ん….内緒!!」
そう言って海橋くんは帰って行った。
内緒って…..。
それより次はどんな自然の場所で
写真撮るのかな..。
私は何故だかワクワクしていた。