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イシダさんのシェルターはこれまで見てきたシェルターと比べて豪華なものであった。
リビングはとても綺麗でたくさんの部屋もあり、給仕用のロボットまでいる。感情を持つロボットではないようだが。僕がキョロキョロしているとイシダさんが話かけてきた。
「俺の名前をまだ言ってなかったな。邦人(くにと)だ。よろしくな。」
続けてこう話す。
「いいシェルターだろ?鈴原教授を通してカズヤが用意してくれたんだよ。まぁ俺たちがシェルター入りする時も顔を出さなかったがね。」
僕は邦人さんにこう聞いた。
「カズヤさんとはいつから会っていないのですか?」
邦人さんはしばらく俯いて答えた。
「18年前、当時嫁が入院していた病院で会った以来だな。」
リビングにはベッドが置かれていて、そこにはカズヤさんのお母さんが寝ていた。かなり老いており、病気は進行してしまっているようだ。
「普段は嫁は奥の部屋で寝てるんだがな。adamくんが来るからこっちに出てきてもらったよ。ほら美里(みさと)。adamくんが来てくれたぞ。」
邦人さんの問いかけに美里さんはゆっくり頷いた。喋ることも難しい状態なのか。
「それじゃあ早速だが、adamくんの持っているデータを見せてくれるかね。和也からのメッセージが入っているはずだよ。」
僕が頷くと邦人さんは工具を使って僕の頭部を触り出した。そしてタッチパネルを取り出して、指紋認証を行い、小さなメモリを取り出した。
「和也から一度だけメールが届いてね。もし和也が俺たちの家に帰って来れなかったらadamくんの中に最期のメッセージを入れておきますと。」
そして邦人さんは取り出したメモリをテレビに入れた。しばらくするとテレビにはカズヤさんの姿が映る。そしてテレビのなかのカズヤさんが話し始めた。