教授は僕の用意した論文を見るとこう言った。
「すごいよ!大学院に入ってから短期間でよくここまで研究できたと思う。君を見定めた私の目は間違いなかったみたい。」
「ありがとうございます。」
「まぁ、まだこの半導体ができるまでには課題があるみたいだけど。私もできる限りアドバイスするからね。」
「はい。引き続き研究します。鈴原教授から見て、課題点を治すにはどうすれば良いですか。」
「そうだね。機能性と軽量化を両立させていくためにはここを………」
教授は僕の研究についてのアドバイスを熱心にしてくれた。アドバイスが終わると教授はこう言った。
「今この研究は私が手伝っているとはいえ石田くん一人でやっているよね。一人じゃ大変じゃない?石田くんが望むなら私が研究員を見つけてくるけど、どうかな?」
教授が言っていることはもっともなことだ。正直僕もこの研究が一人で簡単にできるものではないと思っている。しかし、
「僕は鈴原教授からアドバイスがもらえればそれで十分です。鈴原教授も僕が人間関係が苦手なことをよくわかっていると思います。」
「あぁ、ごめん。そうだったね…。君は大学で授業を受けている時いつも一人だった。なんだか孤高の天才って感じ!」
「そういえば聞こえがいいですけど、ただ人が苦手なだけですよ。生まれてこの方友達はロボットのチコだけでしたから。」
「まぁ私も友達は指で数えるくらいしかいないよ。いまだに独身だしね!死ぬまでロボット工学に貢献できればそれで十分って感じだから、石田くんと私は似ているのかも。」
「鈴原教授ほどの情熱があるとは言い切れませんが、なんだか嬉しいです。」
教授といる時は、人間が苦手な僕でも楽しい。