あの夜、ロロが帰ってきたけれど、俺の中の黒い渦は出ていかなかった。ロロに質問しても特に変なところは無い。だけれど何かが引っかかっていた。
それから一週間後。ロロと昼ごはんを食べていた時。ルーニオさんが入ってきた。
「カルツェル君。社長が呼んでたよ〜」
「あっ、はーい。今行きます。」
行こうとして立ち上がったが、隣のロロも一緒に立ち上がったので、食べてていいよと座らせた。不満そうな顔をされたが、気づかないふりをして部屋を出た。
休憩室を出て左の廊下の奥。白いざらつきのある壁にかけてある美しい風景画。夕焼けが描かれていた。赤、赤を見るとあの日を思い出す。
己の弱さを突きつけられたあの日。ロロが変わってしまったあの日の事。死ぬまで忘れないだろう。炎に包まれたあの日を。
「失礼します。」
シックな家具で統一された部屋に入ると、柔らかな声が聞こえた。
「呼び出してすまないね。カルツェル君」
ふくよかな体型とそれに似合う柔らかな表情。少し白髪が混ざった黒い髪。社長には本当に感謝している。行く場所がなかった俺たちを拾ってくれて、仕事までくれた。
「いえいえ。でも、どうしたんですか?」
「いや、なに、カルツェル君もこの会社に来て二年が経つだろう?だからそろそろやってみないかなと、」
「それってまさか・・・!」
「うん。単独で出張してみるかい?少し遠いんだが、前々からやってみたいと言っていただろう?」
「いいんですか!!??」
思わず身を乗り出してしまい。恥ずかしくなって姿勢を正した。社長の笑い声が聞こえてきた。
「返事はyes のようだね。」
「はいっっ!!!」
嬉しかった。念願の単独での出張だ!
「来週ぐらいに仕事の内容をまとめておくよ。体調崩してしまわないようにね。」
「//////っっ〜!!ありがとうございます!!頑張ります!!!」
ほくほくした気分で部屋を出た。部屋から出る時にちゃんと挨拶をしたか覚えていない。スキップしながら、部屋に入ろうとしてドアノブに手を掛けた。
「シクロロ、ずっと言っているでしょ!」
ルーニオさんの焦った声が聞こえた。思はず手を引っ込めた。ロロと何か言い合っている?
コメント
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順番がなんかバラバラになってます すいません これが七話です