少しだけエロ要素入ってます
「ああああああああああ!!!」
痛い
苦しい
早く解放されたい
早く愛する子に会いたい
アルフレッドに会いたい
「産まれまーす!!」
ハッとする。
次の瞬間大きな声が室内に響いた。
「元気な男の子ですよー!」
感動している間にもう1人も産まれようとしている。今度は1人目よりも少し弱々しい声で泣いた。しかし、ナースや先生はニコリと笑う。
「元気なお兄ちゃんと可愛い弟くんですね〜」そしてそのうちの一人が双子を連れてきて胸の上にのせる。カンガルーケアというものだ。
ふにふにと言いながらも手をごそごそして小さな命を動かしている。
「検査のため、一旦連れていきますね。」
「ああ。頼んだ。」
ガラガラと運ばれ、大量に室内にいた医療従事者も外へ出ていく。入れ替わりでフランシスが入ってきた。
「おつかれ」
「あぁ」
「可愛い子だったね」
「俺の子だからな」
「はっ、皮肉みたいに聞こえるな」
「,,,,,,ところでアルフレッドは?」
「えーとね,,,,,,」
「ありがとう!助かったよ!」
7月3日00時 ○○病院屋上
夜中には相応しくないヘリコプターの音が鳴り響いていた。
「ありがとう。帰りは自分たちでやるよ」
操縦者に感謝を告げ、2人は走って病院内へ入っていった。広い上に暗い病院に加え、初めて来たものだから何回も階段を往復する。
「ど、どこにいるんだい,,,,,,」
夜中のため、声を出すことも出来ない。ゼェゼェ言っていると、
「産婦人科、こっちじゃない?」
「ほんとかい!?マシュー、早く言ってくれ,,,,,,え?マシュー,,,,,,?」
振り返った。だが、光はマシューの背中から照らしてあるから顔は真っ暗で見えない。思わずおののいてしまう。
「,,,なんだい急に?通してもらうよ」
「僕は君が行くのを止める」
「,,,は?なんでだい?君もわかってくれたじゃないか!そうなんだろう?」
「あれを見てそう言えるなら人生楽しそうだねアルフレッド!!」
マシューの大声は久しぶりに聞いた。
「,,,アーサーさんには言ったけどね。僕はきっと何年も何百年も経ったとしても絶対この件に賛成とか正しいとか言わないよ。 」
「,,,俺はただあの時守りたいものを守っただけだ。結果的に今のアメリカは安定して,,,,,,」
「もう君に話すこともないよ。僕はこの喧嘩を持って完全に流すことにする。アーサーさんが子供を秘匿にするように、この思いだけは僕の胸にだけ閉じ込めておく」
「,,,,,,え?喧嘩?」
「来なよアルフレッド」
マシューが構える。もちろん、マシューが喧嘩に勝ったことは無い。ギリギリアルフレッドが勝ったこともあったけれど、それでもマシューの勝利は記憶にも残ってない。アルフレッドは一息ついてスーツを脱ぎカッターシャツのみ着ている。
「,,,手加減しないよ。早くワイフの元に行きたいからね」
「奇遇だね。僕も早く兄さんの元に行きたいんだ。」
「おめでとうございます。アーサーさん 」
「ありがとう菊。無事でいたのも、お前の助けがあったからだ。感謝をどうやって示せばいいのか,,,,,,」「いえいえ」
出産直後、エドワードが各方面に連絡をとり、日本は国内からの電話で祝ってくれた。
「,,,,,,オランダか?」
「ええ。遊びに来ていらっしゃるんです」
「,,,菊も。幸せにな」
「はい。縁とはいつ、どう繋がるか分からないものなのですね」
「ははっその通りだ。」
「休憩はできておりますか?」
「あと10分ぐらいで室内に子供がくると言っていたが,,,,,,」
「あぁ。きっと、」
そこでブツンと電話が切れる。
「え?」
困惑していながらも、もしかしたらとにやけているとフランシスがサッとスマホを取り上げる。
「寝なさいよ。大体3日間オールしたみたいなもんでしょ?」
「あー、まぁ。」
「俺も眠いからさ。また何時間かしたら様子見に来るよ。」
「マシューは?」
「連絡してんだけどね,,,,,,返ってきてないんだよな。もしかしたら来てる途中かも」
「フランシスもありがとな」
「,,,,,,お前に感謝言われるとか違和感しかないわ。またな」
「はぁ!?」
何時間もザワザワしていたのが急に静かになり寂しくなる。10分後を待っているとドアが開いた。予定よりも早く検査が終わったのかと目をドアに向けると、そこにはアルフレッドがいた。ヨレヨレのシャツに血がついてネクタイも酷い形だ。
「あ、アーサー,,,,,,」
「アルフレッド!?」
どうしてたの、何してたのという前にアルフレッドがヨロヨロと近づきお腹に抱きついてくる。
「お腹の子,,,,,,は?」
「,,,,,,産まれたよ。2人とも男の子だ。」
「,,,,,,ありがとうアーサー。,,,立ち会えなくてごめん,,,,,,」
「気にしてねぇよ。お前も、お前のこと優先しないとダメだしな。」
「でも寂しかっただろ?」
「えっ、あー,,,,,,まぁ。」
「ははっ!俺のワイフは可愛いーなぁー!」
「おいっこら!」
軽くキスをされながら触れ合っているとアルフレッドが胸を触ってくる。
「ちょっ!お前くすぐったいって」
「え?だって母乳出さなきゃダメなんだろ?」
「,,,,,,は?いやでも俺男だし、ナースにも話は言って,,,,,,」
「失礼しまーす。赤ちゃん達を連れてきました。あっ旦那様ですか?」
「あぁそうだよ。」
「申し訳ございません。少しお母さんとお話することがございますので、1度ご退出をお願いします」
「えー、まっ俺も1度帰るよ。ちょっと,,,,,,今はこの子達にも触っちゃダメな気がするし。 それじゃ、またねアーサー」
ガラガラと子供たちをのせたカートを近寄せこちらに寄ってきたナースは俺が必死に抑えている手をガン見している。
「えーと。もしかして、出ましたか?」
「あいつが,,,,,,」
「一応待機はしてもらってたんですが。まぁ、お母さんから貰うのが一番ですしね。お兄ちゃんから貰いましょうか。」
手に1人目を抱えながら、可愛い産まれたばかりの顔を見ていると、
「申し訳ございません。お疲れで体力も限界に達しているかと思われますが、検査結果についてお伝え致します。」
「ああ」
「まず、双子ちゃん達は【国ではありませんでした】。」
「ほんとか?」
「はい。赤ちゃんたちの触診検査、世界情勢を見て新しい国の出現などがありませんでしたので確定だと思われます。」
「だとすると、養子縁組で,,,,,,」
「はい。アメリカ国籍でもイギリス国籍でもない、ヨーロッパ州の国から連絡がきています。 資料をご覧下さい。」
抱えるのを2人目に変え、資料を見る。子供の頭はナースが抱えてくれている。
【○○国 ○○街
父名 〇〇〇・〇〇〇 職業 AT企業〇〇社 部長
母名 〇〇・〇〇〇 職業 〇〇〇社 社員
経済的余裕あり 母親は子供を貰い受ければ仕事を正社員からパートに変え専念する予定
現在、夫婦二人暮らし 】
写真を見ても幸せそうな夫婦だ。
「調査に向かわれたそうなのですが、とても仲睦まじい夫婦でしたそうです。」
「,,,,,,あぁそうだな。この人たちにこの子の親を。」
「はい。伝えておきます。,,,,,,あ、お腹いっぱいになりましたかね。げっぷも出せましたし、寝かしつけましょう」
1人目を抱いた。片手で頭が掴めるほど、とても小さい。でも、とてつもなく愛おしい。
「,,,,,,なぁ。もし連絡取れるならさ」
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