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「……で?」
「何だよ、『で?』って」
「いや、あの飢えた肉食獣の顔をどうやって戻したのかと」
「ちょっと待て…昨日言ってた『すごい顔』ってそれだったのかよ…?!」
あっさりと「うん、そう」と頷いた深澤に、お前それ早く言えよと思う。
いや、でもあの時点で言われててもそんなわけないだろで終わってたかもしれないけど。
少し遠くにいる蓮の方をちらっと見ると、ラウールや康二と何か話しながら笑ってる。ひとまず肉食獣には見えない。
…昨夜はちょっとその片鱗が見えた気がするけど。
「まあ、その顔見りゃ大体分かるけどな」
「…やめろ見んな察するな」
ニヤニヤ笑いながら深澤がそんなことを言った。
ものすごく恥ずかしくなってきて、フードを被って顔を隠す。こいつには一体何が見えてるんだろ。
「まあ幸せそうで何よりだけどな。…でも誰彼構わず威嚇すんのはやめろって言っとけよ」
「え、どういう意味」
「やべ、ほら来た」
肩を叩かれて顔を上げると、目の前にはちょっと拗ねたような蓮が立ってた。
え、何でそんな顔してんの。
「俺は幸せそうで良かったなって話してただけだからな? こいつを真っ赤な顔にしたのはお前のせい」
「ちょ、深澤」
立ち上がってどこかに行こうとする深澤を呼び止めると、振り返ってもう一度ニヤリと笑った。
「付き合い立てでそういう時期なのは分かるけど。独占欲もほどほどにしとけよ、めめ」
「……はい」
「だからどういう意味なんだよ!」
「それはめめに聞けよ。あとな、鎖骨の下ギリッギリのとこ。今日は襟ぐり深い服はやめとけよ」
そう言って歩き出した深澤を見送る暇もなく、Tシャツの襟を引っ張って確認する。
服で隠れるギリギリに赤い跡が一つ。
…蓮の独占欲って、これのことか。
「おま、遺すなよ…」
「ごめん、佐久間くんが抱けて嬉しくてつい」
「が、楽屋でそういう事も言うなっ」
「ん、ごめん」
ふふっと笑いながら蓮が隣に座る。あんまり反省してない様子に、深澤が言ってた『威嚇』も何となく察した。
こいつ、周りにまでこんなに『俺の』ってアピールするタイプだったのか。
意外に重いし、ちょっと厄介。でも面倒だとは思わない。
それを嬉しいって思っちゃう俺も、多分重いし厄介だから。
蓮の腕に絡みついて、そのままぴったりくっついた。
「…跡遺すなら、もっと俺しか見えないとこに遺して」
「付けちゃっていいの?」
「ん、蓮に愛されてるって気がして嬉しいから、いい。でも仕事に支障出んのは困るからさ」
「じゃあ…今夜はちゃんと、どこに付けていいか聞くね」
俺の耳元でそう囁いて、蓮が艶をたっぷり湛えた顔で微笑んだ。
昨夜あれだけしといてまだヤるのかよと思わなくもないけど、身体の奥の奥の方が疼き出したから素直にそれに従う。
キスするんじゃないかってくらいに顔を近付けて、そっと囁き返した。
「俺も、どこに付けていいか教えて」
「…佐久間くんが付けたいとこ、全部に付けていいよ」
「それは駄目だろ」
「どんな際どいとこに付けるつもりなの?」
くすくす笑いながら、おおよそ楽屋でするべきじゃない会話をしてる。
『誰彼構わず威嚇』なんてさ、蓮だけじゃないからな。
深澤の呆れた顔が見えるような気がしたけど、メンバーには隠すつもりもないし、いっか。
間違いみたいな夜を過ごして、全部終わったって思ったけど。蓮はあの日が始まりだって言ってくれたから。
あの夜の奇跡に感謝しながら、これからずっと2人の夜を重ねていけたらなって思う。
大好きだよ、蓮。
でもお互いに威嚇はほどほどにしような…深澤が軽く睨んでるから。
🩷の片想い、ようやく終わりました
何かこれまでにないくらい難しかったのは、初手でさっくんが諦める選択をしてしまったせいでしょうか
うちのさっくん頑固過ぎるんでしょうねw
次回からはどっちもその気なしの2人です
どういう展開になるか楽しみにしていただければと思います
その前に裏稼業の続きも書きたいなあ…
コメント
1件
お疲れ様でした…!🩷の片想い編、完結おめでとうございます〜〜!!😭💕 最後の楽屋シーン、深澤のツッコミがめちゃくちゃ効いてて笑ったw でも「蓮に愛されてるって気が嬉しいから」ってさっくんが言うとこ、もう完全にデレデレでこっちまで照れるわ…!!照れ隠しでフード被るとこも可愛すぎたよ🫠💦 あと「威嚇はほどほどに」って深澤に軽く睨まれてるの、さっくんと蓮の重くて厄介な感じがお似合いカップルすぎて尊い…。次回の“どっちもその気なし”の2人も楽しみにしてます!裏稼業も待ってるよ〜!🌸