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#魔法
しろのね
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陽瀬 柚夏
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管野アリオ
206
藍 羅 . 🎧🌿
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モノレール線路下の緑が溢れる遊歩道を、工業団地のある方へ向かって歩いていくと、大きな公園が見えてきた。
由恵は公園の中に入り、四阿のベンチに腰を下ろすと、夏樹も倣うように彼女の隣へ座る。
既に日は暮れて空は紫紺に染まり、周辺の建物に明かりが灯されているけれど、由恵と夏樹の間には暗い雰囲気に支配されていた。
「…………三年振りか」
「ええ。そうですね」
重苦しい情調の中、様子を伺うような夏樹の問いに、素っ気なく答える由恵だけど、彼女の頭の中には、早く娘の樹里を迎えに行かなきゃ、という思いで落ち着かない。
「七月に、立川の南口周辺で由恵を見た。君は気付いていなかったみたいだったから、俺は由恵の名を呼んだが……」
男が何かを言いあぐねているのか、口を引き結んだまま視線を下に落としている。
由恵は『気付かなかった、ではなく、気付いてない振りをした』と口に出しそうになったけど、言葉を飲み込んだ。
やがて、夏樹が腹を据えたのか顔を上げると、前方を見やる。
「あの時、君は…………小さい女の子を抱っこしていた。あの子は……」
男がゆっくりと由恵に向き合い、視線がかち合う。
「…………三年前、俺が君を抱いた時にできた子…………なのか?」
夏樹の言葉に、由恵は黒い瞳を丸くさせながら絶句すると、膝の上に置いていた手を、ギュッと握りしめる。
彼女は無言のまま、ためらいながらも辿々しく首を縦に振った。
「…………そうか」
夏樹が淡々と答え、再び黙り込むと、顎に指先を当てながら逡巡しているように見える。
視線を下に落とした彼の横顔は、変わらず冷酷に見えるものの、男の艶を滲ませ、由恵は見入ってしまいそうになった。
けれど、三年前に彼と紡いだ一夜の淫らな物語は、由恵の中では既に完結しているし、アフターストーリーを綴るつもりも一切ない。
以前、夏樹との『たられば』をチラッと考えた事もあったけど、自分の事よりも、まずは一人娘の樹里をしっかり育て上げる事が、由恵にとって最優先事項なのだ。
四阿の中を淀んだ空気に覆われたまま、時間だけが淡々と刻まれていく。
重苦しい雰囲気に、いたたまれなくなった由恵は、腕時計に眼差しを落とすと、時刻はもうすぐ十八時半になろうとしている。
「すみません。私、これから行かなきゃならない所があるので失礼し──」
「あの子にっ…………会わせてくれっ!」
夏樹が由恵の言葉を退け、切羽詰まった声音で言い放たれると、彼女は身体を小さく震わせながら絶句した。
コメント
1件
うわああああ第六章も重くて切なくて胸がギュッと締め付けられたよ〜〜😭💔 由恵の「アフターストーリーを綴るつもりはない」って台詞がもう……母親としての覚悟と、それでも揺れる気持ちが伝わってきて辛すぎる。夏樹の「会わせてくれ!」の一言で空気が一変する感じ、鳥肌立った……! 樹里ちゃんの存在が二人の関係をどう動かすのか、続きが気になりすぎるよ〜〜‼️ 更新いつでも待ってるからね、管野さん!!🌸