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#衝撃のラスト
山根利広
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夜。
「ああ、由貴が裏があるとか言い出すから気になって寝れんわ」
「羊数えよか」
「いい、羊が……やめとく」
「やめとこか」
虹雨のクイーンベッドはエアーベッドでもある。そこに由貴と一緒に寝るが体格が大きく体重があるかは横で寝ているといつもとは違う寝心地でもある。
「率直に僕が横にいるから寝られんとか」
「……それもある」
「はっきりいえばいいのに」
「言うほどではない」
「てか寝るのは子供の頃以来やな」
「そやな……でも布団一枚だといまめっちゃ嫌」
「すまんなぁ」
「ええわ、あっちに返ったら布団買えばええわ」
「僕もこれ買うわ」
「ええぞ、これ。もともとキャンプ用品メーカーが作ってな。メインはテントとかグリルとかそっちがメインだが寝具としては異例の大ヒット。昨今のソロキャンプブームでキャンパーがこのベッドの採用、コンパクトに収納できて電動手動で好みの硬さに膨らませてお手入れも簡単、だったら家でも使えるって口コミで広がってな、特に一人暮らしの若者、単身赴任の多い中高年……って、寝てる!」
虹雨が力説している間に由貴は寝てしまったようだ。
布団もかけずに寝てしまったようで虹雨はやれやれという顔で布団をかけてやる。
「別にこれキングサイズやで買わんでもええけどな、おやすみ……由貴」
由貴の寝顔を見ると昔の頃の寝顔を思い出す。子供の頃よく遊んで昼寝して。幼馴染との過去に浸って虹雨は眠りにつく……。
翌朝。
ベッドから虹雨は落ち、由貴が真ん中にドーンといびきをかいて寝ていた。
「やっぱり撤回……絶対ベッドは別々や」
そう寝起きに虹雨がつぶやくと
「ん……なんや、もう朝か」
と由貴。
「そや、もう朝や。よかったな! 熟睡できて」
「おう、めっちゃええベッドー。ふぁああっ」
「やるわ、それ。引っ越したら」
「いや、ええって。2人で寝りゃええやん」
という由貴にハッとしてしまう虹雨。自分も2人で寝ればいいとは思っていたがやはり今日のような寝相だと無理だとは思ったのであった。
そして虹雨が朝食を作る。
「僕が来てから幽霊の彼女さんたちは来なくなったけどすまんな」
「すまんな、じゃないし彼女でもないし」
「ちゃんと作れるんなら作りやええのに」
「とにかく1人の時は時間なかったんや……それにあっちからやるやるーってからしゃーないで頼んだまでやて」
「ふぅん」
スクランブルエッグとトーストとベーコンの朝食。
「いただきます」
「いただきます」
朝食中にやることリストを書き出した2人。
「あ、帰ったら天狗様に会いにいかなかんよな……もう僕しばらく会ってないから」
「あ、それ忘れとったわ」
「忘れちゃあかんやつやん」
「俺は帰るたびにあってるから」
「よく帰ってたんか」
「一応定期持ってるから……」
「なにっ、やっぱりあの人妻所長とできとるんやろ!」
由貴は虹雨に詰め寄る。虹雨は苦笑いする。
「ちゃう、お母さんが買ってくれたやつ」
「またお母さんか! お前のお母さんは甘い! 板チョコよりも甘い」
虹雨の母親は虹雨たちの子供の頃の活躍によって得た資産を元に投資を始め、大儲けして居酒屋も経営しても儲けが出るほど稼いでいるのだ。
その前から虹雨の母親はとても甘く可愛がる。なんでも買い与えてしまう。
ルームロンダリングはする必要のないはずやのだが、虹雨は住む家や生活費は自分で稼いで手に入れるという彼のプライドでその辺りの援助はしてもらってないというが……。
「まぁええか……て、所長はその定期券あることは知っとるのか」
「知らない。俺の分は浮いたからそれで好きな弁当食べよや」
「おうっ……て、それ所長さんにバレたら不正になるんじゃ」
「……」
明らかに一瞬虹雨はニヤッと笑った。昔からこういうところが彼の世渡り上手なところだな、自分にはない……と由貴は少し羨ましくなるようだ。
「あとここの管理人さんにもお世話になったからなー」
「どっちかといえば虹雨は依頼された方だけども……」
なんか由貴はんんんーっと顔をする。
「そういう細かい気配りすることがのちにいいことを運ぶんや」
「マメやな、ほんとそこ尊敬するわ」
「どうもどうもー」
「あかんそれ以上言うと調子乗るからもうよすわ」
「そこや、由貴のあかんとこは」
2人は部屋を出てエレベーターに乗ろうとする。が、エレベーターが来ても由貴は乗ろうとしない。
「どしたんや、乗らんのか」
「虹雨、どうしてこのエレベーターが新しくなったか聞いたか」
「確かに新しいけどこれは依頼されてないし、俺も何かしら感じはしたが」
由貴は虹雨の腕を引っ張って外に出す。
「ちょ、なんなん」
「このままここのアパート解体されるんやろ。これ解決しないまま解体、てことやろ」
「……たしかに、でも」
「珍しいな、こんな美味しいネタを動画に上げようとしない虹雨」
由貴はバッグからカメラを取り出した。そしてエレベーターを映し出す。
「……それは……まぁやるっきゃないやろ」
「やろ」
コメント
1件
うわっ、由貴の寝相エグすぎるやろ!w キングサイズのエアベッドで真ん中ドーンは草。でも虹雨が布団かけ直して「おやすみ…由貴」って優しいんよな…。朝のガヤ掛け合いも安心して読めるわ。最後のエレベーターの謎、由貴がカメラ出して「やるっきゃないやろ」ってなる流れ、めっちゃ良かった。2人の信頼感が滲み出てて好きやわ。次も気になる🔥