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目覚ましの音で起床する。隣を見ると、希空さんが寝ていた。昨日そのまま寝落ちして、ベッドに寝かせたのだ。
私は敷布団を畳んで、1階へと降りる。身支度を済ませてからすぐに朝ごはんを用意した。希空さんを起こそうか迷う。今日もフリースクールはあるから、起こさなければならないのだけれど。
そうこうしている間に希空さんが降りてきた。まだ眠そうだ。少し髪の毛も跳ねていた。
「おはよう、希空さん。朝ごはんできてるよ」
「おはよう…ございます」
一緒にご飯を食べ始める。こうやって誰かと食事をしたのは、恭介と暮らしていた時以来かもしれない。
「あのね、これからについてなんだけど…」
「決めました」
「えっ?」
急に言葉をさえぎられ戸惑う。希空さんはお構い無しに続けた。
「自分から死にに行くのはやめます。けど、自分から生きようとすることはしません。だから、アナタが頑張ってください」
「わっ、私!?」
「私を幸せにするんですよね。そのサポートをするんですよね?なら、生きようと思わせてください」
「の、希空さんってそういう性格だったの?」
ごちそうさま、と言いながら私を無視する希空さんは、前よりもいい表情になっていた。
「はい、お弁当」
「ありがとうございます」
「登校時間まで時間があるから、これからについて説明させて」
はい、と言いながら頷く希空さん。それを見て私は続けた。
「警察の人から電話が来たんだけど、家族とも親戚とも連絡は繋がらなかったって」
やっぱり、と言いながら希空さんは下を向いた。でも、それは悲しみとかではなく、わかっているからどうでもいいと言うような、呆れている顔だった。
その表情を見ると私は心が苦しくなる。
「希空さんの身元が安定するまでは、私が預かることになった。いつまでも預かるのは法律上できないらしいから、義務教育が終わるまで。もしも里親さんが見つかれば、義務教育が終わらない内にそっちに引渡すことになってる」
「里親って、どうやって探すんですか」
「希空さんの家族や親戚の友人に当たってみたり、一般の方で希望者がいれば電話が来る予定」
そうですか、と言いながらため息を着く希空さん。
こんな状況になれば、ため息もつきたくなる。私なら耐えきれなくてご飯なんか喉を通らないだろう。それでも、希空さんはご飯を食べて、ちゃんと寝て生きようとしている。
強いなぁ、この子は。つくづく思い知らされる。
「あの、お金の方は?」
「それは大丈夫、 心配しないで。あ、服とか置いてきてるよね。土日に買いに行こうか」
「…そうですね」
静かに頷いた希空さんは、また暗い顔をしていた