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#衝撃のラスト
山根利広
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由貴の夢の中。
あの時だ、山で遭難して重傷を負った時のこと。霞みゆく意識の中、1人の大きな男がスタッと降りてきた。天気も悪く薄暗くなっていく中、その大きな男に担がれる。
誰かわからないが助かった、と由貴は最後の力でしがみつく。
『本当になんでもするんだな、最後の確認だ』
その声に由貴は
「はい」
と答えたことを今になって後悔しているか、と言ったら嘘になる。
命を助けてもらい能力も授かり幽霊がみえるようになった事でいろんなことが起きて大変であったし、大人になってからは君悪がられて仕事も何も続かず、この能力なんていらない、こうなるのならあの時に……だなんて思ったことは何十回もあった由貴ではあるが。
だが一緒に助かった虹雨がこうして今も横にい……
「ってすぐそばで寝てるぅ!!!」
目を覚ますとベッドの上、すぐ隣には虹雨が涎を垂らしていた。
昨晩あんなに部屋の中が荒れていたのにも関わらず窓ガラスは割れてない、物も壊れていない、荒れていた部屋が嘘のように綺麗になっていた。そして由貴は自分が肌着とショーツだけであることに気づく。
「なんでや、いつの間に着替えたん?」
すると虹雨がぬくっと起きた。
「おう、起きたか……」
「起きたかって、何呑気なことを。昨晩のことは夢だったんか??」
「は? 夢ではない」
由貴は部屋を見渡すとキミヤスがいた和室、父親が落とされたベランダには何も気配がなく、母親と祖父のいた浴室も同様に何も無くなっていた。
「面倒やで一気にまとめて空に送ったわ。疲れたー」
虹雨も肌着とボクサーパンツ。メガネをかけて床に落ちていた部屋着を着る。
「あんなに部屋が荒れていたのに……きれいになったな」
「あー、それな……」
「ん?」
ぐううううう……
2人同時お腹が鳴った。目を合わせて
「食べよか、ブランチだけどなこの時間やと」
「そやな、食べたい……」
「そこに服置いてるからまた今日服を買いに行くで」
だが既に台所からいい匂い。スープと目玉焼きとベーコンの匂いもだ。
「次は火事か?」
「あほ、火事やない……」
「ならなんや」
匂いする方向、台所に行く。いい匂いが近づいてくる。
「……先に虹雨が作った? いや、ちゃうな……」
由貴は匂いと同時に何かを察した。
『よっす! おはよう……て、誰あんた』
「あんたこそ誰」
台所に立っていたのは1人の若い女性、少しギャルっぽい。
そんな彼女が朝食を作っていた。
『……虹雨の彼女だけど、ふふふ』
「ハァ? 彼女?!」
そんなわけないと由貴は昨晩あの家族以外生身の人間は2人きりだったのにと……。でもわかっていた。
「……虹雨、説明してもらおうか」
虹雨は目を泳がす。
「彼女って言い方があかんやろ……勝手に好きになっただけやろ」
『ひどい、こーちゃんっ』
「こーちゃん?! 幽霊の彼女に……こーちゃんだなんて呼ばせてるのかよ」
「るっせぇ! ちゃうわ……勝手に朝食作る料理好きなギャルが付き纏ってるだけなんや」
「ふーん……」
由貴は鼻で笑う。昔からこいつは女の子にはモテていたなと思い出す。
「もうええ、帰っていい……いつもありがとう」
『いつもって……てかお友達いるなら言ってよねー。こーちゃんの分しかないんだから』
「あとは俺がやる、もうこいつがいるからお前はもう成仏せえ」
ボムっ
とギャルがえっとした顔をして青い炎に包まれて消えた。
「うわー、簡単に女を捨てた……」
「また人聞き悪い。勝手についてきただけやし本当は成仏せなかんなにズルズル居座ってたからええんやて」
「うわー、一番タチ悪いやつや、昔からそうなん……女の子をその気にさせて。幽霊の女の子もそうするんやねー、こーちゃん」
「こーちゃんうるさい!! 今から朝ごはんお前の分まで作るからあっち行ってろ!」
「へいへーい」
由貴はダイニングに行き料理の音を聞きながら待つ。
「ちなみに部屋の中をきれいにしてくれたのも、こーちゃん親衛隊かい?」
「だからその言い方っ……まぁそうだが……呼べば来る」
「すげぇな、お前上手く使ってんなぁ」
虹雨は2人分の朝ごはんを器用に運ぶ。
「使わないと勿体無いやろ……あの時の様子だとうまく使えてなかったんか」
「……まぁな、てか普通に美味い」
と由貴はペロリと目玉焼きを口に頬張る。
「実家の居酒屋賄い目玉焼きや、もっと味わって食べろ。でも相変わらず豪勢に食べるよな……ラーメン屋の時もあっという間に特盛からの替え玉おかわりだったしな」
「久しぶりのご飯だったし……てかその動画残してある?」
「残してるけど?」
「ならいい。また後で動画編集しなきゃな。あのコンビニもあるし」
「おう頼んだ。そうだ……あれも」
虹雨は席を立ち浴室と和室の部屋にあったかと思うと2台カメラを持ってきた。
「昨晩のキミヤス一家退治もええリアクションやったでぇ!!」
「浴室の時は知ったったけど他にも隠しカメラあったんかー!」
「もちろん!」
「幽霊操れるならキミヤス一家も自分で除霊できたろ……ハメやがって!」
由貴は怒りのあまり虹雨の分の朝ごはんも一気に平らげた。
「あっ、お前ー!!!!」
「女たらしの騙し屋こーちゃん!」
「うるせぇ!!!」
そんなこんなで2人の再会は良かったのかどうかはまだいまの時点ではよくわかってない。
コメント
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みぅです🤍🥀 第五話、読み終わりました…! 由貴の過去が少しずつ見えてきて、あの遭難の時に助けてくれたのが虹雨だったんだ…ってグッときた。でも目覚めたら隣で涎垂らして寝てるってギャップがすごい(笑) ギャル幽霊の「こーちゃん」呼びには笑ったけど、虹雨が幽霊すらもその気にさせる女たらしってのが納得。由貴のツッコミが冴えてて、2人のやりとりがほんとに心地いい…。隠しカメラの件で朝ごはん奪い取る由貴、最高でした🌙 麻木香豆さんの描く関西弁の掛け合い、毎回好きです。続きが気になります…!