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いと
#和風ファンタジー
るるくらげ
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一方、町では「魔王」の噂が立ち
夜の店内は、いつも以上に騒がしかった。
とある町の酒場
「おい、聞いたか?」
一人の男が声を潜める。
「例の城……本当に魔王がいたらしいぞ」
隣の客が驚く。
「は?魔王なんてもういないだろ」
「いや、本当だ」
男は真剣な顔で続けた。
「冒険者が見たらしい」
「しかも……ありゃやばいらしい」
周りの客が耳を傾ける。
「近づいただけで体が震えたってよ」
「魔力が桁違いだったって話だ」
別の客が不安そうに言う。
「じゃあ討伐は?」
「失敗したのか?」
男は首を振った。
「いや……」
「逃げ帰ったらしい」
「魔王はまだ城にいるって」
酒場の空気が一瞬静まり返る。
誰かがぽつりと呟いた。
「……本物の魔王だ」
「いい獲物が見つかった」
そう言うと店を後にした。
数日後
その噂は、王都にも広がっていた。
王城の会議室。
重い空気の中、王と大臣たちが集まっている。
「これは……一大事です」
一人の大臣が口を開く。
「各地の町から、同じ報告が届いております」
「魔王を見たという証言です」
王が腕を組む。
「本当に魔王なのか」
別の大臣が答える。
「まだ断定はできません」
「ですが証言は一致しています」
「黒い角」
「赤い瞳」
「そして……圧倒的な魔力」
部屋が静まり返る。
王が低く言った。
「どうする」
一人の大臣が言う。
「早急に手を打つべきかと」
しかし別の者が反論する。
「ですが、下手に軍を動かせば」
「刺激して被害が広がる可能性があります」
沈黙。
その時だった。
椅子がゆっくり引かれる。
一人の男が立ち上がった。
白銀の鎧。
背には青いマント。
王国の紋章を胸に刻んだ騎士。
陛下」
低く落ち着いた声が響く。
「この件」
「我々に任せてもらえないでしょうか」
周囲の視線が一斉に集まる。
男は一歩前へ出た。
「王国白銀騎士団が動けば」
「無用な混乱も防げるでしょう」
王が目を細める。
「……団長か」
男は静かに頭を下げた。
「王国白銀騎士団隊長」
「カイル・レオンハルト」
「この任、私が引き受けます」
金色の髪。
鋭い青い瞳。
鍛えられた騎士の体。
王国最強と呼ばれる男だった。
もし本当に魔王がいるのなら」
カイルは静かに言う。
「この剣で私が魔王を討ってまいります」
会議室の空気が引き締まる。
王はゆっくり頷いた。
「よかろう」
「調査を許可する」
「白銀騎士団に任せる」
カイルは胸に手を当てた。
「はっ」
「必ず真実を確かめて参ります」