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微睡みのなかで揺蕩うように目を覚ます。
眩しさに目を細めたメリーティアは、そこで強い既視感を覚えた。
どこを見渡しても白く輝く異様な空間。
身体がふわふわと浮いているような気がしたが、視線をどこへ向けても自分の手足が見当たらない。
そっと柔らかいものに包み込まれた感触がして、ほうと恍惚の息を吐いた。
長い長い舞踏会のあとに馬車の中でピンヒールを脱いだときのような、一日の終わりに熱い湯に浸かったときのような、そんな抗えない心地よさを味わい全身から力が抜けていく。
「メリーティア、お前の願いは無事に叶えられたようだな」
あたたかい胸の中に抱き締められ、するりするりと労わるように撫でられた。
低い声に意識を引き上げられる。
ゆったりと微笑むニルスが目の前にいた。
『あなたに会うのは、わたしがもう一度死んでからだと思っていたわ』
メリーティアは声を発したつもりだったが、何も音にはならなかった。
それでも心の声のようなかたちでニルスには伝わったようだ。
「お前が願いを叶えることができたあかつきにその心をもらうと言った。これでも少し猶予を与えたつもりだったが?」
ピンッと指先で弾かれる。
ニルスの言葉どおりだったなら、ケイリクスを殺した瞬間にここへ連れて来られてもおかしくはなかった。
グウェンダルとのひとときは、ニルスなりの温情だったらしい。
自分で弾いたくせに、そこを掌で優しく撫でてくる。
以前この空間に訪れたときとは違い、メリーティアは球体のようなものになってニルスの手の上に乗せられていた。
これが自分の心の形なのだろう、とぼんやりと認識する。
「二度生きたお前の心は不必要に傷つきすぎた。これからは、私の胸の中でゆるりとおやすみ」
心だけがここに連れてこられて、身体はどうなっているのだろう。
自分は死んでしまったのだろうか。
聞きたいことがたくさんあるのに、ニルスの胸に抱かれていると意識が沈んでいく。
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