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私が、まだ前世の名前だった頃の話。
世界的に、特に呼吸器系統にダメージをおわせるウイルスが猛威をふるっていた。
もともと喘息持ちで、ちょっと風邪を引けばすぐに肺炎にまでなるような私は、案の定あっさりそのウイルスに蝕まれ、あっという間に入院することになった。
白く、何もない部屋に寝かされ、機械に繋がれて生かされる私にとって、スマホだけが楽しみを与えてくれた。
ゲームや動画サイトなど、色々試した中で、最も自分の状況を忘れさせてくれたのは、無料のWEB小説サイトで連載されていた、ティーンズラブ小説の数々。
男女の肉体関係を存分に言葉巧みに表現した、私の性欲と性癖を刺激する数々の作品と出会い、時には登場人物のセリフに胸キュンし、時には人間関係などの設定にエモさを感じる。
さらに、時にはスマホを持ったまま布団に潜り込み、男女が激しく絡み合ってるシーンをスマホ画面に表示させる。
そして、自分がまさにその男女のように激しいセックスをしている妄想をする。
それが唯一の、入院中の密やかな楽しみだった。
特にお気に入りだったのが
「アルストメリー王子は聖女を孕むまで抱きつくす」
というタイトル。
男女の交わりによって、魔力を安定させなくてはいけない世界であるため、毎日のセックスは必要不可欠というとんでもない設定が売りの小説。
最初は興味本位だったが、実際読んでみると中国で古くから使われていたという房中術という概念をうまく取り入れている。
体内の魔力を放出させず、セックスをすることで常にお互いの内部に留めておく。
そうすることで、どんどん内部で魔力が育っていき、強大な魔法を使えることができる……ということらしい。
なるほど。
魔法とセックスという、一見交わらないような要素を、こうしてうまくミックスし、納得感を持たせているのが、作者のオリジナリティなのだな……と素人ながらに思った。
まあ、セックスの描写といえば……。
「あっ……いやん……!」
「イクか?イクのか?」
「イクぅ!いっちゃうのぉ!」
「くっ……俺もイキそうだ……!」
「一緒に……んっ……イかせてぇ……!」
ぐちゅぐちゅぐちゅ。
ズボズボ。
ぷしゅー!
ごぼごぼごぼ。
といった、よく見かけるものではあるが。
そしてこういう擬音語がまた、私を興奮させる要素でも、あるのだが。
ちなみに私は、クリトリスを舌で舐める時のじゅるり、ぺちゃぺちゃ……などという音を見ると、体が疼いてしまう。
そんな私の人生が一変したのは、それから間も無くのこと。
丁度、「アルストメリー王子は聖女を孕むまで抱きつくす」の最後のエピソードを読み終えたばかり。
濃密な溺愛シーンがたたみかけるように続いており、寝なきゃいけない……とわかっていたのにも関わらず、一気に読み進めてしまったのだ。
こんなに、サービスシーンがあってもいいのか……。作家様……神様ありがとう……!と、心の中で崇める。
例えば、王子が、心が通った聖女様が着る純白の衣装を丁寧に剥ぎ取るシーンは、焦らしプレイのようにドキドキした。
その後、聖女様の、手のひらにおさまるサイズの胸をむき出しにさせた王子が、いかに聖女様の綺麗な胸に興奮したかがわかるように、がっついた様子が丁寧に描写されている。
「お前の胸は、どうしてこんなにも俺を興奮させるんだ」
「お前の乳首……俺の好きにしていいのか?今すぐ食べたい」
という王子のセリフは、現実世界で言われたら、何を言ってるんだ……と突っ込むかもしれない。
こういうファンタジーの……明らかにそう言うセリフを言いそうにない男性が言うからこそ、そのセリフにうなずいてしまう聖女様の気持ちに共感できる。
……私だけかもしれないが。
さらに、聖女様が自分の乳首を噛んだり、摘んだりしている王子の行為を、心から喜び、愛おしいと思っているかが、聖女様が出す吐息や目の動きの表現を巧みに使い、リアリティを出してくれているのも、またイイ……!
そのように作家……もはや神が生み出したラブシーンのおかげで、自分がまさに聖女様になったかのように、脳内で王子に身体中激しく愛される体験をすることができた。
挿絵がないので、これも脳内の好みの男女をイメージすることができるのもたまらない……!
脳内では自分が憧れている女性としての姿になり、理想の男性に求められる。
こんな幸せな、コスパが良いストレス発散は他にあるのだろうか……?
異変はそんなことを考える、まさにその時に起きた。
え……苦しい……。
呼吸が……できない……!?
何で!?
私は、そんな突然の自分の体の変化に戸惑った。
そうだ……ナースコールを押さないと……!
その時、持っていたスマホをベッドから落として、カシャンとスマホの画面が割れたのが分かる音が聞こえた。
どうしよう……画面の修理は高いよなぁ……。
などと考えている内に、どんどん意識が遠のいていく。
いつもの寝落ち寸前の状態とは全く違う。
このまま、もう目覚めないかもしれない。
そんな予感がする。
嘘でしょう……?
せっかく、王子様に身体中愛される幸せな体験をして、心が踊っていたと言うのに……。
実際の私は、男性経験どころか、男の子と手を繋いだこともないのに……!
実際に男性のあれが、私の中に入る感覚はどんなものなのか。
本当に痛いのか。血が出るのか。
泣きたくなるほどなのか。
そう言えば、私は珍しい、リア充で経験をすでに済ませた友人が言っていた。
目覚めた時、世界が変わったように見えた、と。
どんな世界が、見えたんだろう。
男性のあれが、私の膣を擦る感覚はどんなものなのだろう。
家で一度指を使ってやってみようと思ったが、結局中に入れることは怖くてできなかった。
男性の唇で、私のあそこを舐められるって、どんな感覚なんだろう。
男性にとって、あそこから出てくる愛液と呼ばれるものは、舐めるのは嫌じゃないんだろうか。
ぬめぬめした感覚が気持ちが良いと、小説にはよく書いてある。
そして、舐めるシーンになると一気に
「ああんっ……」
「そこ……!イイ……!」
というような、ヒロインの喘ぎ声が高まる書き方もよく見かける。
……そんなに気持ちいいんだろうか。
考えると、ゾクゾクする。
下半身が、うずいた。
その日が来ることを妄想して、あそこ専用の石鹸というものをこっそり買って、こそこそ家族に見つからないように使ってはいた。
いつでもそういう日がきても良いように、準備は……していたつもりだった。
結局は、出番どころか出会いの1つもなかったのだが。
正確には……出会い自体はあったかもしれないが、小説と違ってリアルの男性は、会話のきっかけもわからなければ、どう言うふうにすればそう言う関係になれるのか、が全くわからなかった。
小説では誘われる展開。
気がつけば一夜をともにする。
というような展開ばかりで、三次元の恋愛の参考書にはならなかった。
……でも、それがイイ……!
そんな私が……。
たった1人、死んでいかないといけないのか……?
こんなに簡単に?
……彼氏もいたことないのに。
……エッチしたことがないのに。
いっそ……セフレでも作ればよかったのかぁ……。
どうやって作るのか、知らんけど。
こんなことなら。
マッチングアプリやってる人を、馬鹿にしなきゃよかったなぁ……。
「とりあえず、まずは体から」でワンナイトしてる人を、馬鹿にしなきゃよかったなぁ……。
あーあ。
どうせ死ぬんなら。
せめて処女捨ててから、死にたかったなぁ……。
これが、前世の私が考えた最後の言葉。
お父さんお母さん。
こんな私でごめんなさい。
これが、まず前世のお話。
そうして、今世。
私は前世とは全く違う姿となり……。
「あんっ……んっ……!!」
「ほら、イイんだろ?」
「やあん……そこ……やだぁ……」
と、喘ぎに喘ぎまくっていた……。
男性……エディ王子は今、彼の肉棒で懸命に私の中をかき混ぜている。
私の膣の中にたまる愛液が、その度にいやらしい、ネチネチとした音をたてている。
私の足は自然とエディ王子の腰にがっしりと絡め、肉棒をもっと奥へ、奥へと入れるようにエディ王子の腰ごと引き寄せながら
「あん、あああっ……!」
と、恥ずかしげもなく声を出している。
もう、状況を整理している余裕は微塵もない。
エディ王子の腰のスピードはますます速くなる。
パンパンパン。
グチュグチュグチュ。
それに加えて、フカフカのマットが敷かれたベッドが軋む音がどんどん大きくなる。
「……なにっ……考えてんだよ……!」
エディ王子がぐっとますます中に入ってこようとする。
大事なところを守っている毛が擦れ合い、私の喘ぎも止まらない。
「気持ち……いいっ……!」
無意識に出た言葉だった。
「はは……お前が素直にそう言うなんて……今日はどうかしたんじゃないのか!?」
「えっ……?……やあん!」
エディ王子がまた乳首を摘んでくる。
くりくりっと捏ねるように。
「普段俺がこうしても、澄ました顔してるくせに……よっ!」
「あああああん!!」
身体中が電気が走ったようにビクビクする。
「……やっとイキやがったか」
「い……く?」
これが、あの……イクと言う感覚……。
体が急に脱力したかのようにぐったりしている。
そしてぼーっと気持ちいい……。
などと思っていると。
「今度は、俺の番だからな」
といってさらに激しく攻め立ててきた。
「やだ、だめ!もう……無理……!!」
と私がエディ王子の、細身の割りにしっかりと筋肉がついた胸を押し戻そうとするが、びくともしない。
「くっ……もうすぐだから……大人しくしてろ……!」
そう言うとエディ王子は私に自分の口を押し付け
「ほら、口を開けろ」
と、舌を無理矢理ねじ込んでくる。
苦しいのに、その感触が気持ちよくて、エディ王子の舌の動きに合わせて私も舌を絡めてしまう。
お互いの唾液が混じるような口付けをするものだから、もう私は拒否の言葉を声で発することができない。
「んっ……ふっ……」
とお互いの息遣いが荒くなる。
そして
「んっ!!!」
と、エディ王子が一段と激しい腰使いで私の膣に肉棒を押し入れた時だった。
じゅわり。
どくどくどくん。
じわっ……。
私の膣の中に、明らかに私のものではない液体が勢いよく入ってきて、じんわりと広がっていくのが、わかった。
中出しをされたのだと私が気付いたのは、エディ王子が私の中から少し落ち着いた肉棒を引き抜いた時。
どろりと、濃厚な白濁液が私の中から出てきた。
ちなみに、赤色は一切混じってなく、それどころか窓からさしてくる朝日の光によって、少しキラキラしていた。
まさか中出しまで経験するとは思わなかった……。
中出しで即妊娠とは限らない、とはよく聞く。
月1の排卵日に合わせてセックスしなければ受精卵になることはないのだ。
そのタイミングが難しくて妊娠できないと嘆いていた人間もいるくらいだ。
だけど、私の頭の中には漫画や小説、ドラマ、映画でよくある、たった1回のセックスで妊娠する……という設定がぐるぐる巡っていた。
口にしなきゃいいものの
「妊娠しちゃうかも……」
などと、無意識に言ってしまった。
すると、すでにセックス後の賢者タイムをさっさと脱し、全裸でどこかへ向かおうとしていたエディ王子が私の方に振り向いた。
興奮が落ち着いた肉棒と玉が、エディ王子の金髪に覆われてはいるものの、それでも大きいな……と思ってしまった。
そして全身は……さすがフィクションの登場人物というべきか……美術館で見た全裸の男性の像のように、筋肉が綺麗についた、がっしりしているようで服を着たらスリムに見えるであろうスタイル。
(このヌード、写真集にしたら売れそう……)
などと考えながら、エディ王子の胸板の肉感と、自分の乳首と彼の乳首が擦れ合ったときの何ともいえない快感を思い出す。
膣内に残っていた白濁した液と同時に、愛液の泉が湧き出てくるのが分かった。
自分1人で慰めていた時は、こんな感覚になったことがなかった。
そんなことを、エディ王子の全裸を舐めるように見ながら考えていると
「今更妊娠なんて何を言ってる?それをつけているのに」
と私の首元を指さした。
私は首元に手を当ててみた。
私からは見えないが、何か硬いツルツルした丸いものがある。
(……これは……石だろうか)
私はキョロキョロと周囲を見渡す。
鏡が見当たらない……。
仕方がなく、窓を見ようと、ベッドから降りて歩こうとするが、がくん、と腰が抜ける。
(やばい、倒れる!)
と思ったら
「おい」
がっしりとエディ王子に背後から腰を掴まれて、どうにか倒れるのは免れた。
「大丈夫か」
「だ……大丈夫……」
と言いながら顔を上げると、豪華で繊細なレースのカーテンが引かれているものの、窓にはしっかり自分の裸体が写っている。
私の胸にあるものが、卵の大きさほどの赤い宝石がついたチョーカーであることが分かった。
これは、一体何なのだろう……。
何故、王子はこれを指さして
「妊娠などしない」
と言ったのか。
いや……それよりも今最も気になっているのは……。
「あの……んっ……王子……何して……あああん」
背後にいるエディ王子が、突然また、私の乳首をいじってきた。
「あんっ……ちょっ……何……」
「そんな姿を見せるのが悪い」
「……え!?」
「勃った。挿れさせろ」
きゅ、急に……!?
さっきまで、あれだけしたのに!?
そういえばこの王子、絶倫っていう設定だったっけ……。
そう思ったのも束の間
「あんっ……」
ぷちゅ、という音がしたかと思うと、そのまままたぐいっと中に入れられる。
窓を見ると、どこかでみたような姿。
そう、これは……バックポジション。
窓越しに、興奮しているエディ王子と目が合う。
「いくぞ……」
エディ王子が私の腰をぐっと掴む。
ちょっとやそっとの力だと逃れられないほどの力が加わり、体は安定する。
そして……。
「あっ……んあっ……あんっ……」
「はぁ……くっ……」
王子がまた、腰をひいては突き上げ、肉棒で私の膣を蹂躙し始めた。
「やだっ、王子……あん、あん、あああん!」
だんだんとまた、絶頂に近づいてきた、その時だった。
がちゃっ。
「王子!いつまでしているんです!!もう起床の時間です!」
と、初老の男性が無遠慮に入ってきた。
(なっ……!!)
あまりの突然のできごと。
自分の淫らな姿を、訳もわからず他人に見られたということがショックで、いっそ気を失いたくなったが、窓越しに見えるエディ王子は顔色を変える事なく、私の中を蹂躙しまくっている。
「やだっ……やめ……て……あん、あん」
パンぐちゅ、パンぐちゅ、パンぐちゅぷちゅ。
またもや、どんどん激しくなっている。
「あと1回で、今日は終わりにする……」
エディ王子がそう言うと、初老の男はやれやれ、というような表情で
「また昨日、すぐに始められなかったんですか……」
(すぐに……始められなかった?)
どういうことだろう、と一瞬頭の中で考えたが……。
「しかたがないっ……ん……だろう……」
エディ王子は私のお尻をぱしっと1回叩く。
その軽い痛みがまた、私の中の快感に火をつける。
「ああああんっ……っ!だめぇ……!」
「もしかして……また昨日もですか……」
(昨日……も……?)
「ああ、そうだ……っ……くっ」
「それならばまあ……必要なこと、ですから、あと10分で終わりにしてください」
(何?何の話をしているの?)
「そういうわけ……だっ……もうすぐ出るから……そしたらすぐ……支度だ……」
そう言うと、また王子のピストンスピードがあがっていく。
「御意」
そう言った初老の男は、何故か立ち去らずその場にいたまま。
(え、嘘……!私このままこの人にも全裸見られないといけないの……!?)
脳内の思考と、快感がぐちゃぐちゃになり、目からぼろぼろと涙が溢れてくる。
どうしよう……などと考えている余裕はまたもやなく。
パン、パン、パン、パンと腰がリズミカルに打ち付けられながら、くりくりっと乳首がこねられ、エディ王子の息遣いもどんどん荒くなる。
「あああああああっ……」
「出るっ……!!!」
パシーンと、子宮の入り口までこじ開けられたかのように肉棒が奥にあたる
ぶしゅうううう……と、中にまた生温かいものが入り込む。
どろりと、体の中に溶け込んでいく。
「あんっ……あはん……」
「はぁ……はぁ……」
お互いの激しい息遣いが部屋中に響く。
私は、ふと目の前の窓をもう1回見ると、赤い石のチョーカーが光っている。
(どうして、光っているんだろう……)
そう考えていると、エディ王子は私をそのままベッドに連れていき座らせる。
そしてその後
「ご苦労だった」
と涼しい顔をしてあっさりと言うと、エディ王子は初老の男の元へ行く。
(……そんな……早く行動できるもの……なの?)
すでに腰がもう動けなくなった私は、エディ王子が華麗に部屋を動き回っているのを見て、恨めしく思う。
「湯浴みの準備を」
「御意」
初老の男にエディ王子はそう言うと、初老の男は懐から小さなベルを取り出し、鳴らした。
少し鈍いけど、綺麗な高音が、チリチリーンと部屋に響く。
その途端、扉がバタンと開き、10名程の女性メイドが入ってくる。
2名は王子の元へ行き、バスローブなどを手渡しながら奥へと案内している。
すでに王子の腰にはタオルのような腰布が巻かれており、肉棒が見えない。
そして8名は、ぐったりとしている私の前へとやってくる。
こんな様子は、小説には書かれていない。
(何だろう……)
と考えていると、いきなりその中で最も年齢が高そうな女性が、私の入り口を器具のようなものでこじ開けてきた。
(!!?)
あまりの衝撃に言葉を失う。
その女性は、私の中を真剣に見て、指をつっこんでくる。
「んっ!!!!」
いくら女性の指とはいえ、先ほどまでこの世のものとも思えない快楽を味わった部分は、ちょっとした刺激には弱くなっている。
無意識に声が漏れる。
恥ずかしいと思って手を口に押さえるが、女性は特に気にもしないのか。
「エディ王子の精液、必要量あり」
と口に出している。それを記録している若い女性がいることも分かった。
その後、テキパキと女性は、乳房のチェック、お腹周りのチェックなど、私の全身を隈なく見ながら
「はい。今日のお勤めご苦労様」
と無機質な、温度のない声で私に言う。
その声を合図に、控えていた他の女性が私の元に来て、まず最初にチョーカーを外す。
そのチョーカーは、先ほどのように光っていない。
その一連の流れを見ながら、私は冷静に自分の立場を思い出していく。
まるで、忘れていた映画のシーンが鮮やかに記憶に蘇るかのように。
私の名は、カサブランカ。
貴族令嬢。
そしてエディ王子の伽を務めるという名誉ある役目を担った女。
その役目はエディ王子が16歳の誕生日を迎えてから毎晩必ず。
そのため、私は自宅に帰ることが許されず、伽の相手を務めるためのありとあらゆることを体に仕込まれていた。
(中出しは、この世界では当たり前……だったな……)
王子の精子を体の中で受け止め、その赤い石のチョーカーの力で魔力に変え、その魔力を粘液の中に含ませて、次の伽の時に王子に返す。
それの繰り返し。
だから王子は、出した精子の量を気にしなくてはいけない。
十分量がないと、意味がなさないから。
この伽の最初の説明を受けた日に聞いた……という、今世の記憶が少し蘇る。
前世の私は、そこまでは知らなかった。
何故ならば、あの小説はヒロイン目線でしか書かれていないから。
そして今世の私は、ヒロインではない。
だから、小説には書かれていない無数の出来事を、今世の私の記憶の中から、改めて確認をするしかない。