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すると、ハァッと諦めたように溜め息を吐いた陽向は、
「……部屋に彼女が居るって聞いて、丁度いいから見に行ってみるかって思っただけだよ」
どこか不貞腐れながらも嘘をついた理由を口にした。
「後できちんと紹介するって言ってあっただろ?」
「そうだけど、一度二人で会ってみたかったんだよ、その方がそいつの本性見れるかと思ったから」
「そいつとか言うなよ。亜佑美さん、本当にすみません……」
「う、ううん、気にしてないから……その、陽向くんから聞いたけど、二人は幼なじみなんでしょう? 後で紹介してくれる予定だったの?」
ようやく口を挟めた亜佑美が会話に参加をして二人の関係について改めて確認すると、
「陽向、お前そんな嘘までついたのか?」
「…………悪かったって」
「え? 嘘?」
「亜佑美さん、陽向は幼なじみじゃなくて、俺の弟です」
「え!? 弟くん!?」
陽向が朝陽の弟だという事実が判明し、あまりに驚いた亜佑美は言葉を失った。
「朝陽くんの弟くんって、確か高校生……」
亜佑美が驚くのも無理は無い。
陽向は大人びた容姿と身長179cmと高身長も相まって見た目だけでは高校生に見えないのだ。
「陽向は高校二年の十七歳……見た目大人びてるから高校生に見られないことも多いんですけどね」
「だから、俺が朝陽の友達っていう嘘も信じたんだろ? それに、コイツ俺見てちょっとときめいてる感じだったしな?」
「そ、そんなこと……」
無いとハッキリ言いたい亜佑美だけど、本音を言えば高身長で大人びた容姿の陽向を見た瞬間、不覚にもときめいてしまったのは事実なだけに何も言えなくなってしまう。
「陽向、いい加減にしろよ。とにかくもう帰れって」
「ヤダ。折角来たんだし、良い機会じゃん。きちんと紹介してよ」
朝陽が帰れと言っても聞く耳を持たない陽向は亜佑美をきちんと紹介してと言う。
困り果てた朝陽に亜佑美は、
「あの、朝陽くん……折角だし、お夕飯一緒にどうかな? 少し多めに用意してあるから陽向くんの分もあるし」
晩御飯の時間でもあるからと三人で食卓を囲む提案をした。
「……まあ、亜佑美さんがそう言うなら……。陽向、飯食ったら今日は帰れよ?」
「分かってるって」
亜佑美の提案に渋々納得した朝陽が夕飯を食べたら帰るように念を押すと、意外にもそこはきちんと約束したことで二人の言い合いは収まったのだった。
朝陽は仕事終わりとあって本来ならばシャワーを浴びてからゆっくりしたい気持ちがあったのだけど、これ以上亜佑美と陽向を二人きりにさせたくない思いから部屋着に着替えるだけ。
亜佑美と共に食卓を整え終えると、陽向を交えた三人での食事が始まりを告げた。
今日のメニューは肉じゃがで朝陽も陽向も大好物とあって箸は進んでいき、それを見ていた亜佑美は嬉しくなる。
「亜佑美さん、これ、凄く美味しいです!」
「本当? 嬉しい!」
「まあ、兄ちゃんの作る肉じゃがが一番美味いけど、これもなかなかいけるな」
「ふふ、そう言ってもらえて良かった」
(陽向くんって朝陽くんのこと、大好きなんだろうな)
六歳離れていることや母親代わりだったこともあって陽向は朝陽のことが好きで、居ない間に訪ねて来たのも大好きな兄の初めての彼女がどんな人間なのかを知りたかった為であることが分かり、亜佑美は陽向を微笑ましく思うと共に、
(朝陽くんのお兄ちゃんしてる姿も新鮮で良いなぁ)
普段とは違って陽向の前で見せる兄の部分を見れた亜佑美は新鮮さを感じ嬉しく思っていた。
コメント
1件
うわあ、弟くんの突然訪問!めっちゃびっくりしたー!陽向くん、朝陽くんの彼女が気になって仕方なかったんだね…その気持ち、なんかわかるな。でも「ときめいてた」発言はズルいよ陽向くん(笑)普段見られない朝陽くんのお兄ちゃん面が新鮮で、亜佑美さんの「微笑ましい」気持ち、すごく共感しました。三人の食卓、ほっこりしたなあ…
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