第二ラウンドはまず理紗子の心を解きほぐす事から始めた。
健吾は理紗子から一旦身体を離すと隣に横になりぐったりしている理紗子に腕枕をする。
そして優しく理紗子に話しかけた。
「セックスをする上で今理紗子が一番心配な事は何?」
「え?」
理紗子は急にそんな事を聞かれたので驚く。
「うん、だから心配な事、もしくは不安な事は何? 正直に教えて欲しい」
「……………」
「俺の事を信頼して」
「……………」
「これから俺達は身体で会話を始めるんだよ。だから理紗子の事は全て知っておきたいんだ」
「____私、イッた事がないの」
健吾は見当はついていたので特に驚く事もなく穏やかに続けた。
「今はイッてたよね?」
「____うんっとね、今のは本当のセックスじゃないじゃないでしょう? 口でだったから」
健吾はやっぱりそうかと確信する。おそらく理紗子は指や口ではイケるのだろう。しかし中ではイッた事がないのだ。
それが理由で元彼に『相性が合わない』と捨てられたのだ。
(なんてことだ)
健吾は見えない男に対し怒りがこみ上げてきた。しかしなんとか怒りを飲み込む。
「そっか、でもそういう事なら俺に任せろ」
健吾は自信たっぷりに言うと理紗子のおでこにチュッとキスをした。しかし理紗子はまだ不安そうなままだ。
(そのトラウマは俺が全て取り払ってやる)
健吾はそう決心してから真面目に理紗子に言った。
「これから君を愛していく上で俺は理紗子に感じているかどうかを何度も聞くと思うんだ。その質問に理紗子は恥ずかしがらずに正直に答えてほしい。あとは決して演技をしない事! 感じていないのに感じているふりはするなよ。俺は理紗子が感じていなくても嫌いになったりはしないからな、わかったか?」
「うん、わかった」
理紗子の返事に満足そうに頷いた健吾は肘をついて上半身を起こすとナイトテーブルに手を伸ばした。そして何かのリモコンのスイッチを押す。
すると寝室には静かなピアノジャズの曲が流れ始めた。そのジャズは理紗子が好きな曲だった。
(この曲、私の好きなエロル・ガーナーの『Misty』だわ)
好きな曲を耳にした途端体中がリラックスする。気分を良くした理紗子が窓の方を向くと一面に摩天楼のような夜景が映り込んでいた。
(この曲はこんな景色によく似合うわ)
理紗子は思わず微笑む。微笑みながらつい先ほどの健吾とのやりとりを思い出した。
ずっと胸の奥にしまっていた辛い思いを漸く健吾に打ち明けた。その途端信じられないくらい心が軽くなった。
理紗子はやっと自由の身になった。何にも囚われる事のない自由の身だ。
理紗子はホッと息をつくと視線を健吾に戻す。すると健吾はこれ以上ないというくらいに優しい眼差しで理紗子を見つめていた。
(あ…キスされる……)
そう思った瞬間理紗子はそっと目を閉じた。そこからは信じられないくらいにロマンティックな夜が待ち受けていた。
健吾は大切な宝物にでも触れるかのように優しく理紗子に触れる。
先程までの荒々しい情熱はすっかり息を潜め、繊細に、そしてありったけの優しさを込めて理紗子を愛した。
健吾は常に理紗子が感じているかどうかだけに注意を払いながら愛撫を加える。そして時折理紗子に聞いた。
「気持ちいい?」
「感じる?」
「ここはどう?」
恥ずかしさのあまり最初は答えるのをためらっていた理紗子も次第に素直に答えるようになった。
そして理紗子の反応を見ながら健吾の濃密な愛撫は続いていく。
健吾が焦らすように指を動かすと理紗子から声が漏れる。
「ふぅぅ…….んっ」
と熱い吐息を漏らす。
健吾はその表情や微妙な声のトーンを見逃さないように理紗子が一番感じる部分だけを攻めていった。
健吾の巧みなテクニックは次第に理紗子の全身をとろけさせていった。
理紗子の身体はすっかり赤く火照り瞳はトロンと潤んでいる。それは受け入れ準備OKのサインだった。
健吾が理紗子の秘部を探ると既に透明で滑らかな愛液が溢れ出ている。
健吾はそれを指で掬い辺りに塗り付けるように擦り付けると一心に摩擦を加えていった。
その刺激で理紗子の腰はカクカクと震えイク寸前まできていた。
(このまま一人ではイクのは嫌)
自然にそう思えた理紗子は健吾の首に抱き着いて耳元で囁いた。
(ケンちゃん…来て……)
理紗子が初めて自分の意志で健吾を誘った瞬間だった。
実は健吾はその言葉を引き出す為に長い時間をかけ理紗子を焦らしていたのだ。
セックスは女性が受け身でいる必要はない。セックスは互いの心と身体の会話なのだ。
女性側から欲してもいい。いや、むしろそうすべきだ。その要望に男が全力で応えればいいのだ。
女性は男性に服従する必要なんてないし我慢なんて絶対にしてはいけないのだ。
健吾はその事を理紗子に伝えたくて前戯にゆっくりと時間を取ったのだ。
「俺が欲しいのか?」
理紗子の誘いに健吾が答える。すると理紗子は恥ずかしがって答えない。
「………….」
「理紗子ちゃんと答えて」
「___ケンちゃんの意地悪」
「俺にどうして欲しいの?」
「___入れて」
理紗子は真っ赤な顔をして恥ずかしそうに言った。
その瞬間健吾の胸がキュンと疼く。
「わかったよ」
健吾は嬉しそうに微笑むと一度理紗子を強く抱きしめてからキスをした。
そして健吾を待ち望む部分へゆっくりと漲る自分を沈めていった。
それは健吾の願いが漸く叶った瞬間だった。
健吾は二年前のあの日、理紗子を見つけた時からずっとこうしたいと思っていたのだ。
その長年の熱い思いをありったけ理紗子にぶつけていった。
「ハァッ、ケンちゃん…….す…ごい……こんな…….の初めて…….」
理紗子は荒い息をしたままそんな言葉を口走る。
「そうだよ理紗子、そうやって今感じている事を俺に伝えるんだ。そうすれば理紗子の気持ちいい場所が…俺にもわかるから…さ…….ハァッ…….」
健吾は既に余裕がなくなっていた。こんな事は初めてだった。
理紗子の中が思った以上に良過ぎるので油断するとあっという間に持って行かれそうだった。
健吾は気を抜かずに集中して理紗子が感じる部分だけを攻め続けた。
「あぁっっ…も……うっだめぇっ……」
理紗子は健吾の背中にギュッと爪を立てた
健吾も一緒に昇りつめようと最後に何度か強く腰を打ち付ける。その瞬間二人は絶頂を迎えた。
理紗子の膣が軽い痙攣を起こして健吾を締め付ける。
「くっ……」
健吾は理紗子と共に極上の快感を手に入れていた。
二人の激しい息遣いは切ないピアノジャズによってかき消されて行く。
しばらくして呼吸が落ち着いて来ると健吾はもう一度理紗子に口づけをした。
理紗子は放心状態のまま健吾に唇を奪われていた。
ぼんやりした意識の中、理紗子は女としての自信を取り戻していた。
そしてその瞳には悦びの涙が溢れていた。
コメント
4件
素敵なシーンですよね🥹理紗子ちゃんの身も心もほぐれていきますね。健吾さんにとっても、嬉しい反応だし🤭
優しく、素敵な愛のシーンにうっとり💏♥️ 健吾さんの二年間の想いが叶った瞬間でもあり、 理紗子ちゃんのセッ○○への認識が変わり 女としての自信を取り戻すことが出来た瞬間でもあり.... 胸がいっぱいになる🥺💖✨
感無量です(இ﹏இ`。)ウゥゥ… Mistyに乗っての2人の愛の融合.。.:*✧ そして無二の存在に.。.:*♡ しばらくこの雰囲気に慕っていたい*.∗̥⁺