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「お姫様の瞳はまるでこの世界の光を独り占めしてしまった欲張りな輝きをしていますね」
とてもキザなことを言っている気がするのにレナード様が言うと様になっていて蕩けるような気持ちになる。
彼が黄金の輝きを放つネックレスとイヤリングのセットを見せてきた。
「欲張りだなんて、言われたのは初めてです」
私は自分を欲張りとは思っていないが、なんだか気恥ずかしくなる言葉だ。
「あなたの初めてを奪えて光栄です。お姫様」
彼のドキッとする言葉に、一瞬鋭い視線を後ろに感じ周りを見るとご婦人方が私を睨みつけている。
おそらくお金なんてなさそうな幼い私の相手を彼がしていることが気に食わないのだろう。
私はただの11歳ではない、レオ国の立派な公爵令嬢だ、金はある。
「いえ、素敵なジュエリーをご紹介頂きありがとうございます」
私は彼の紹介してくれた宝飾品の購入手続きをしながらお礼を言った。
「イザベラ姫からそんなお言葉を頂けるなんて、イエローダイヤモンドのような瞳の色だと思っていましたが、姫にはこちらのスファレライトの方がお似合いな気がします。優しく取り扱わなければならない宝石ですが、まるで触れてはならない柔らかい姫のお心のようだと思いお見せいたしました」
またもや、彼がくすぐったくなるような言葉を言ってきた。
忙しそうな彼に私の相手をしてもらっているが、良いのだろうか。
周りのご婦人方は明らかに先ほどから売り物ではなく私達を見ている。
購入もしないのに彼に相手をさせてると思われる訳にはいかない。
「わざわざ、お気遣いありがとうございます」
私は新しく彼が紹介してくれたジュエリーの購入手続きもした。
「イザベラ姫は帝国の方ではございませんね。帝国にあなたがいらっしゃったら、帝国の男は皆あなたの話しかしなくなるでしょう。どちらからいらっしゃったかお聞きしてもよろしいですか? 」
私がどこから来たのか彼が尋ねてきてくれている。
先ほどから心臓の動悸がとんでもないことになっている。
「レオ王国です」
私は彼の美しい瞳に映るときめきを抑えきれない自分の顔を見ながらこたえた。
「そのような遠くから、帝国に輝きを届けにいらっしゃったのですね。ゴールデンベリルはそのような内なる太陽のような輝きを持つイザベラ姫にとてもお似合いになります」
どうやら遠くから来たことを慈善事業と思ってくれたらしい、ただの逃亡なのになんだか嬉しくなる。
宝石の名前が魔法のような言葉に聞こえる、彼の喜んだ顔を見たいから購入しないといけない。
私はすかさず、紹介されたジュエリーの購入手続きをした。
「あ、すみません」
突然、彼が私の髪に触れてきた。
旅の間はメイドもつけていないので、手入れも十分にできていなく恥ずかしくなる。
彼に汚い髪だと思われて軽蔑されたらショックだ。
「綺麗な髪ですね。お優しいイザベラ姫にお似合いの柔らかい色をしています。」
私の髪を綺麗な髪だと言ってくれてた。
お世辞かもしれないけれど嬉しい、ピンク色が似合うとまで言ってくれている。
彼がまたピンク色のネックレスとイヤリングのセットを紹介してきてくれた。
「瞳の色だけではなく、髪色に合わせた宝石までご紹介頂きありがとうございます。」
みんなが彼と話したいのに私に時間を割いてくれているのだから、当然私は購入する。