テラーノベル
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その日、木村家は浮かれていた。
理由は単純。
――拓也が今日、帰り遅い。
「今日は平和だな〜」
樹がソファでゴロゴロしながら言う。
「父ちゃんいないと空気ゆるい」
涼介も笑う。
優吾は少し嫌な予感していた。
「……おまえら調子乗んなよ」
だが。
その予感は当たる。
☆
まず。
北斗がジュースをこぼした。
「うわっ」
その上を樹が滑った。
「危なっ!?」
樹、盛大に転倒。
その拍子に――
ガシャーン!!!
棚崩壊。
全員「「「あ」」」
☆
さらに。
ジェシーがびっくりして大泣き。
「うわぁぁぁん!!!」
康二もパニック。
「いや!! いやぁぁ!!」
慎太郎まで泣く。
「こわいぃぃ!!」
双子は責任押し付け合い開始。
「北斗のせい!!」
「樹のせいだし!!」
「はぁ!?」
地獄。
完全に地獄。
☆
その時。
ガチャ。
玄関が開いた。
全員、凍る。
「……ただいま」
帰宅予定じゃない拓也が立っていた。
静寂。
ジェシーの泣き声だけ響く。
拓也はゆっくり部屋を見渡した。
壊れた棚。
散乱した物。
泣いてる末っ子たち。
騒ぐ兄組。
そして。
低い声で言った。
「……何した?」
終わった。
☆
数分後。
兄組、全員正座。
樹。
涼介。
優吾。
風磨。
全員目が死んでる。
双子は後ろで縮こまり、
慎太郎は風磨にくっつき、
ジェシーはまだしゃくりあげていた。
拓也、腕組み。
「説明」
誰も喋らない。
「説明しろ」
圧が怖い。
樹が震えながら手を挙げた。
「……オレ?」
「最初から全部」
「えーっと……北斗がジュースこぼして……」
「北斗」
「ごめんなさい……」
「で?」
「オレが滑って……」
「樹」
「ごめんなさい……」
「で?」
「棚が死んだ」
「物みたいに言うな」
☆
拓也は深いため息をついた。
怒鳴らない。
でもそれが逆に怖い。
「おまえらさ」
ゆのでい🍄🩵

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静かな声。
「怪我したらどうすんだよ」
誰も顔を上げられない。
「ジェシーも康二もパニックになってるだろ」
その言葉に。
樹の顔が曇る。
風磨も小さく頷いた。
☆
少し沈黙が流れて。
拓也はジェシーの前にしゃがむ。
「もう大丈夫」
「……ぱぱぁ」
頭を撫でる。
康二にも目線を合わせた。
「怖かったな」
「……うん」
すると。
拓也は立ち上がり、兄組を見る。
「で?」
全員「?」
「片付けんだろ」
「……はい」
「棚も直す」
「はい」
「今日はゲームなし」
双子「えぇぇ!?」
「文句ある?」
「ありません」
即答。
☆
その後。
全員で片付け開始。
樹は棚修理。
涼介は掃除。
優吾は泣いてる組対応。
風磨は双子監視。
まるで強制労働。
すると慎太郎が、拓也の服を引っ張った。
「とーちゃ、おこってる?」
拓也は少し笑う。
「怒った」
「こわかった…」
「悪いことしたら怒られる」
「……うん」
「でも」
拓也は慎太郎を抱き上げた。
「ちゃんと片付けして、反省したら終わり」
その言葉に。
兄組が少しホッとする。
☆
夜。
全部終わったあと。
拓也は疲れたようにソファに座った。
すると樹が隣に座る。
「……ごめん」
珍しく素直だった。
拓也は少し驚いて。
それから樹の頭を軽く小突く。
「怪我なかったから今回はセーフ」
「うぃ」
「次やったら説教一時間」
「長ぇよ」
そのやり取りを見て。
涼介たちは笑った。
今日も木村家は、
怒られて、
騒がしくて、
でもちゃんと家族だった。
コメント
1件
第9話、めっちゃ良かった〜!!😭💕 樹たちが調子乗ってる→大惨事→帰ってきた父ちゃんの静かな怒り…の流れがテンポ良すぎて、読んでて「あちゃー…」って声出た笑 でも最後、ちゃんと片付けて、樹が素直に謝って、拓也が「怪我なかったからセーフ」って言うところ、もう完全に家族の絆じゃん…!✨ 騒がしくて怒られて、でも温かい木村家、大好きです🫶 続きも楽しみにしてるよ〜!!