コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「防腐処理をしてある。旅から帰ってきた後に石田くん体調を崩してね。そのままこんなことになってしまった。」
僕はそう言った鈴原教授にこう問いかけた。
「なぜ最初からカズヤさんは死んだと言ってくれなかったのですか?」
鈴原教授はこう返した。
「ごめん。私も今だに石田くんが死んだことを受け止めれてなくてね。この様子を見ないと石田くんが死んだという事実を言葉に出来なかったんだ。本当にごめん。」
僕は呆然としていた。本当はもうカズヤさんは生きていないだろうとずっと思っていた。でもこうして初めてカズヤさんと対面する時に、死んでいて欲しくなかったんだ。
「eveは石田くんが死んでしばらくした後に故障が起きてね。修理することもできたんだけど彼女がそれを拒んだんだ。カズヤの横にずっといたいってね。ひどいよね。私を一人にして。君だってこのシェルターにやってきてくれたのに。」
そう言っている鈴原教授の目には涙が浮かんでいた。僕だって泣きたかった。でも僕に泣く機能は備わってないようである。
最上階まで戻ってきた。バッテリーの充電は終わっていたが、僕は今日はここに泊まることにした。鈴原教授に体を診てもらうためである。
「石田くんが遺してくれた最後のロボットだからね。私が生きてる限りは故障なんてさせないよ。」
鈴原教授は笑いながらこう言ってくれた。
点検が終わり、僕はこのシェルターから出ることにした。別れ際鈴原教授と言葉を交わした。
「必ずまた来ますから、その時までお元気で。」
僕はこう言うと鈴原教授は、
「あぁ、気をつけてね。石田くんの父さんと母さんによろしく。」
と返してくれた。
シェルターを出て僕は一つのことを気にかけていた。カズヤさんの前で鈴原教授からこう聞いたからである。
「多分石田くんの両親は石田くんが死んでいることを知らないと思う。」
イシダさん達からカズヤさんについて聞かれた時、僕はどう返せば良いのだろうか。