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カチャリと静かな音を立ててロッカーの扉が開く
真っ先に這い出た中也は乱れたシャツのボタンを震える手で留め直した
膝の力が上手く入らず壁に手をついて辛うじて体を支える
首筋には隠しきれない鮮やかな赤紫の痕が刻まれ、その肌にはまだ事後の熱を帯びて上気していた
「クソッ…最悪だ…」
低く吐き捨てた声は酷く掠れている
中也は落ちていた帽子を拾い上げると深くかぶり直した
直視できない
たった数分前まであの狭い闇の中で自分がどんな声を上げ、宿敵の体を求めていたのか
一方遅れてロッカーから姿を現した太宰はどこか満足げな、それでいて酷く冷徹な瞳をしていた
唇の端には中也がつけた小さな噛み傷から薄く血が滲んでいる
「おや中也、そんなに顔を赤くして…まるで初めての経験をした少年のようだね」
「黙れ!次その口開いたら今度こそ首跳ね飛ばすぞ」
中也が鋭い視線を向けるが太宰は余裕の笑みを崩さない
彼は中也の傍らに寄ると誰にも見えない死角でその熱の引かない耳元に顔を寄せた
「任務はまだ継続中だよ相棒」
「でも君のその腰の浮き方じゃあ重力操作も少し鈍るかな?」
「…っ!」
中也の肩が大きく跳ねる
太宰の手が一瞬だけ中也の腰を強く所有権を主張するように触れた
外の空気は冷たく、硝煙の匂いが鼻をつく
先程までの狂ったような熱などはじめからなかったかのように振る舞わなければならない
他が二人の間に流れる空気はもう二度と元には戻れない重みを孕んでいた
「敵を全員叩き潰してさっさと帰るぞ」
「そうだね。帰ったら今の続きをじっくりとしようか」
中也は返事をせずただ足早に戦場へと踏み出した
背後に続く太宰の視線が自分の背中を、腰を執拗に撫で回しているのを感じながら
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