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ちいさな手の、まほうの道

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ちいさな手の、まほうの道

5 - 第5話 花びらをおかあさんへ

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2025年08月15日

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あさ、わたしは起きてすぐに台所へ行った。おかあさんは、いつものようにお皿をあらっていたけれど、

背中が少しさびしそうに見えた。


「おかあさん、これあげる!」

わたしは両手でぎゅっと抱えていた“笑顔花”を差し出した。


「まぁ…ミナ、これ…どこで?」

おかあさんはおどろいて、しゃがんで花をのぞきこんだ。

花びらはやさしい光を放っていて、

台所の中がほんのりあたたかくなった。


「森で見つけたの。

 おかあさん、これを見たら笑顔になるんだって」


おかあさんはしばらく花を見つめていたけれど、

やがて口もとがふわっとゆるんだ。

それは、何日ぶりかの本当の笑顔だった。


「ありがとう、ミナ…」

その声を聞いたとき、胸がじんわりして、

目の奥があつくなった。


その日の夕方、村の広場でおばあさんが話しているのが聞こえた。

「今年は10年ぶりの“星のおまつり”だよ。

 一番きれいな飾りを作った人は、星の女王さまに会えるんだ」


──星の女王さま。

わたしはあの夜の声を思い出した。


「…会いたい」

心の中でつぶやいたその言葉が、

これからの道を決めたことに、そのときはまだ気づいていなかった。

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