錆の都送り

鋼谷と篠田は、冥王会の離島に到達するため、飛行機に乗り込んだ。通常のルートではアクセスできないその島へ向かうため、彼らは一度も使ったことのない飛行ルートを選んだ。機体は小型だが、高速で、監視網をかわすために巧妙に設計されている。

「ここからが本番だ。」篠田は飛行機内で鋼谷に向けて冷静に言った。鋼谷も静かに頷き、状況を分析していた。

飛行機の飛行高度が下がり、近くにある島が見え始めた。島の上空では、冥王会の監視機が飛んでおり、鋼谷たちの到着を察知するだろう。しかし、鋼谷にはその計画があった。

「ここでのポイントは撹乱だ。」鋼谷は篠田に説明しながら、飛行機のコックピットの操作を確認した。「我々が島に到達したら、ロケランを落として重力を緩和させ、周囲の監視体制に疑念を抱かせる。つまり、偽の情報を流しつつ、飛行機を降下させる。」

「なるほど、そうすれば、島が一時的に混乱する。」篠田は少し考えてから答えた。「その隙に着陸し、接近を果たすってわけだ。」

「その通りだ。」鋼谷は少し顔を引き締め、機体の窓から外を見つめた。島の姿がだんだんと大きくなり、鋼谷は内心で何度も計画を確認していた。これが成功すれば、冥王会の警備体制は大きく揺らぎ、彼らはその隙を突いて本部に侵入できる。

「よし、準備は整った。」鋼谷は最後の確認をし、篠田に目を向けた。「いけるな？」

篠田は鋼谷を見返し、軽くうなずいた。「ああ、やるだけだ。」

飛行機はさらに高度を下げ、島の上空に差し掛かると、鋼谷はしっかりとロケランのスイッチを入れた。数秒後、轟音とともにロケランが投下され、その衝撃で周囲の空気が震え、島の一部が軽く揺れた。

「やったか？」篠田は鋼谷の顔を見て確認した。

「確実だ。」鋼谷は返答し、飛行機の進行方向を微調整した。島の防衛システムがすぐに反応して警戒態勢を強化したが、偽の攻撃情報に惑わされている間に、飛行機は目標地点に向かって急降下を始めた。

飛行機は島の上空で滑空しながら、着陸に向けて最終的なステージへと突入する。その頃には冥王会の防衛網が動揺し、何が起きたのか把握しきれていなかった。ちょうどその隙間を縫って、鋼谷たちは地上への降下を果たす。

「行くぞ。」鋼谷は篠田に向かって、確信に満ちた一言を放った。

飛行機が無事に着陸したその瞬間、島の地面に足をつけた二人の表情は、これから始まる壮絶な戦いを予感させるものであった。