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その後、瑠衣と奏は近所のエストスクエア内にあるイタリアンレストランでランチをした後、再び自宅へ戻り、色々な話に興じていると、夕方に仕事を終えた侑が帰宅し、リビングへ入ってきた。
「ただいま。ああ、音羽さん、ようこそ」
「響野先生、お邪魔してます」
「先生、お帰りなさい。お疲れ様でした」
彼がスマホを取り出し、着信やメールをチェックすると、奏の方を見やる。
「音羽さん、怜からメールで君を迎えに行く連絡が来たから、アイツが来るまで待っているといい」
「教えて頂き、ありがとうございます。響野先生もお忙しいようで……」
「今日は振替レッスンで立川音大に行ったんだ。怜は元気にしてるか?」
「ええ、元気ですよ。今日は仕事で学校を回ってます」
「ほぉ。アイツも忙しいんだな」
その後も三人でお喋りを楽しみ、外が暗くなった頃、インターフォンの音が響いた。
侑が玄関へ向かうと、仕事から直接東新宿へ来たと思われる怜が、グレーのスーツの上にハヤマのロゴが入った黒のスタッフブルゾンを纏ってリビングへ入ってきた。
「こんばんは。お邪魔します。九條さん、無事で本当に良かったよ……!」
涼しげな奥二重の目元を細め、開口一番に瑠衣に伝えた。
「葉山さん、ご心配をお掛けして、本当にすみません」
「とにかく九條さんが無事に侑の元へ帰ってこられたのが何よりだよ。さて、奏。そろそろ帰るぞ」
「…………今来たばかりなのに、もう帰るのか?」
侑が瞠目しながら答えると、怜が悪戯っぽく笑みを見せる。
「そりゃそうだろ。ずっと一緒にいた二人が一週間も離れていたんだ。九條さんも無事に帰ってきて、二人だけの水入らずの時間をもっと過ごしたいだろ?」
「………フンッ」
侑が苦虫を噛み潰したような面持ちでいると、『そうよね、そうだよね』と、奏も苦笑しながら怜の元に寄り添った。