私の名前は桃菜。
スーパーのレジ打ちで働いていており、3歳の息子を育てる27歳のパート主婦。
私の退勤時間が近ずき!交代として私より少し若い男の子がレジのところに入ってきた。
その瞬間。
私は強烈に苦しい心臓の痛みが襲い後ろに倒れかかった。けれど若い男の子(佐伯くん)が支えるように私の下敷きになり倒れた。
気が付くと、先程までの痛みは無く普通に立つことが出来たが、直ぐに違和感に気付く。
私がそこで寝ているのだ。
しかも、私の下敷きになってくれた若い男の子も動かない。
私と彼の周りには多くの人が集まっている。
電話をし救急車を呼ぶもの。AEDをもってくるもの。心臓マッサージをするもの。
だが、私も彼も反応がない。
私は全てを察した。私は死んだのだと。
辺りを見渡すと動かない彼が不思議そうな顔をして立っていた。
私は彼と目が合うと、私が死ぬと同時に彼を殺してしまったと申し訳ない気持ちが溢れてきてその場から逃げ去った。
それに気付いた彼が私を追いかけて来た。
けれど私より若くて足が速かったので直ぐに手首を掴まれたが、私は直ぐにもう片方の手で顔を隠し、「ごめんなさい。ごめんなさい。」と謝った。
「どうして謝る?」と彼が私に言ってきたが、私は申し訳ない気持ちしかなくてまた謝った。
私が謝り続けて彼が話したい事も話せないと思ったのか、掴んでいた手首を引っ張り自分の胸に私の顔をくっ付けた。
「落ち着きましたか?とりあえず一旦整理しましょう。」と彼が私に言ってきたので私は頷きその場に座り込んだ。
その間にも、私たちを通り越して人が過ぎ去って行く。
「先程はどうしてあんなに謝ったのですか?」 と彼が私に言った。
「だって、私は多分心臓発作なのかもしれないけど、佐伯くんは違うのに私が巻き込んで私が殺したようなもんだし。私より若い(?)男の子を殺めてしまったから。」と彼に言った。
「心臓発作だとしても巻き込んで亡くなるって聞いた事ないけど。状況だけを見るとそうなのか?」
彼は独り言のように言った。
「これからどうする?このままここにいてもねぇ。」と私が彼にいうと、彼は少し考えると口を開いた。
「多分、これから長い付き合いになると思うからお互いの自己紹介をしましょうか?まずは俺から。名前は佐伯健悟。22歳の今年大学を卒業するはずだった。実家は隣の県で、コッチで一人暮らしをしています。」
彼が言い終わると私が頷いた。
「次は私だね。名前は六道桃菜。26歳で3歳の男の子のママです。地元は遠く、高速で帰ると半日以上かかり、結婚をするためにこっちに来ました。呼び方は健悟くんでいいかな?私の事は桃菜って呼んで。それにタメ口でいいよ。」
私が彼にいうと
「分かった。桃菜って呼ぶね。」
彼が言い終わると、彼の後ろから誰かが私たちに声をかけてきた。
「どうしてその場から離れるのですか?あまり動き回らないでください。」
紺のスーツに紺のネクタイ姿の男性が歩きながら私たちに言った。
「それは俺たちに言っているのか?俺たちの事が見えている?」
健悟くんがそういうと
「はい。貴方たちに言っていますし。見えております。詳しい事はこれからお話しますね。私の名前はモノリスと申します。以後お見知りおきを。」
彼はお辞儀をすると私たちの間に立ち、私たちの手を引っ張りながら歩き出した。私と健悟くんは目を合わせ首を傾けた。
「私はジョナリーナ帝国にあるヨハン学園から来ました。ヨハン学園というのは貴方たちみたいに異世界から来る方々をそこで国やこれから行く世界について学んで頂き、それぞれに旅立って行く為の学園です。貴方には旅立つまで学園で一緒に過ごしてもらいます。もうここには戻りませんのでその前に行きたい場所に行きましょう。どこに行きたいですか?」
モノリスは長々と話した後に私たちに聞いてきた。
「こっちではもう死んだから戻って来れないって事なんだね。なら、私は息子が通っている保育園に行きたい。」
私がそういうとモノリスは頷き、健悟くんの方を見た。
「俺は、、、。特に行きたいところはないかな?家族ともあまり仲良くないし。恋人とは別れたばかりだし。桃菜の行きたいところだけでいいよ。」
健悟くんは少し考えると悲しそうな顔をしながらそう言った。
「後悔しない?本当に最後だよ?」
私は健悟くんに再度確認をしたけど、健悟くんは頷きモノリスの方を見た。
「かしこまりました。健悟と桃菜でしたね。では、2人とも私の手を取ってください。これから空を飛びます。しっかり捕まっていて下さいね。」
モノリスがそう言うと、少しジャンプをした。すると私たちの体が中に浮いた。空高くまで来るとモノリスが口を開いた。
「桃菜。息子さんが通っている保育園はどちらですか?」
私は、落ちるかもしれない。ドキドキと怖さで手が汗でビッショリになりながら口を開いた。
「保育園の方向は向こう。道なりに行った方がいいかも。」
私は保育園の方を指さしてそう伝えると、モノリスが私の状況を見て手を強く握った。
「安心してください。決して落ちることはありません。」
それを聞いて私は頷いた。
保育園まで空中を飛んで保育園の上まで到着した。
そのまま下に降りて私は息子を探し見つけることが出来たが、触れようとしても私は死んだのだから触れる事は出来ない。それに気付くと涙がどっと溢れてきた。
するとその時、後ろから声が聞こえ振り返ると保育園でバイトをしている20代前半ぐらいの男性の先生がいた。
「こんにちは。お迎えですか?」
私もモノリスも健悟くんもびっくり。彼は私たちが見えているのだ。
彼が見えていると知り、モノリスは少し考え口を開く。
「彼も見えているのであれば連れて行きましょう。見られたのであれば仕方が無いですね。」
その瞬間、モノリスが彼に近づき、彼の頭に手を置いた。すると彼はそこに倒れた。私はやめてって言おうとしたが既に遅かった。
そこで横になっている彼とそこに立っている彼氏。
横になっている彼の周りには、他の保育園の先生方や、まだ残っている園児達が集まってきている。
立っている彼は硬直したようにそこで動かない。
モノリスが彼に近づき名前と状況を説明する。
「私はモノリスと言います。私たちの事が見えている貴方をこれから行く世界へ招待いたします。もうここへは戻りませんので。貴方のお名前を聞いてもよろしいでしょうか?」
彼は我に返ったみたいに瞬きをし、名前を語った。
「名前は、宇佐見 寅之助です。オレは死んだということでしょうか?」
私はそれを聞いて申し訳ない気持ちになった。
「では、行きましょう。時間がありません。」
モノリスがそういうと、私は彼に小さな声で言いました。
「こんな事になってしまってすみません。改めまして私は桃菜。桃菜と呼んでください。敬語も不要です。これから長い付き合いになりますがよろしくお願いします。」
私が言い終わると、次は健悟くんが寅之助くんに言った。
「俺の名前は健悟。よろしくね。」
言い終わると、モノリスが言った。
「何しているのですが?こっちですよ!」
私たちがモノリスの方へ行くとそこには馬車があった。
3人ともびっくりして目を合わせた。
「乗って下さい。すぐに出発をします。」
私は馬車に乗り込む時に息子がいる方をもう一度見て(バイバイ。元気でね。)と心の中で言った。
馬車が出発して数十分間。モノリスは私達のためにこれから行く世界の事を話してくれた。
馬車が止まるとモノリスがカーテンを開け。全く別の世界に私たち3人はびっくり。そこには野原や池、少し離れたところに森林。目の前には大きな門があり、その奥にはたくさんの建物が経っていた。
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