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そして、7月になった。今日は栞の誕生日だ。
午後の講義を終えた栞は、真っ直ぐ家に帰った。
今日はこの後、直也が迎えに来て、二人で湘南へ向かう予定だ。
直也は栞のために、鎌倉の海沿いにあるホテルを予約してくれた。
今夜はホテルで二人きりの誕生日ディナー、明日はサーフィン、その後、直也の仲間たちとの夕食会に参加するという盛りだくさんの計画だ。栞の期待は膨らむ。
栞がマンションを出ると、ちょうど直也の車が到着した。
「お待たせ!」
「お迎えありがとう」
栞が助手席に座ると、車は湘南へ向かって出発した。
「サーフィンの時、先生のお仲間も来るんですか?」
「波があれば来ると思うよ」
「えっと……佐野さんでしたっけ?」
「佐野は絶対来るよ! 栞に会いたいって言ってたからね」
「佐野さんは、先生よりも年下なんですよね?」
「うん、僕より四つ下かな。彼は藤沢の建築事務所で一級建築士をやってる」
「へぇ~すごい! 明日の夜に行くカフェも、先生のお知り合いがやってるんですよね?」
「そう。『Grand Swell』っていう店で、オーナーは菊田さんっていうんだ。サーファーたちからは『辻堂の父』って呼ばれてるよ」
「先生は湘南にお友達がたくさんいるんですね」
「高校時代から毎週通ってたからね~。みんないい人ばかりだから、栞もきっとすぐ仲良くなれるよ」
直也はそう言って、軽快にハンドルを握った。
目的地までは一時間半もかからなかった。
高速を降り県道をしばらく進むと、車はホテルへ到着した。
直也が予約してくれたホテルは、低層階の上品な造りで、海沿いに佇んでいた。
車を降りた二人は、ホテルの入口へ向かった。
潮の香りが漂う初夏の夕暮れ、栞は幸せな気持ちに包まれていた。
チェックインを済ませ、二人は部屋へ移動した。
室内は白とベージュ、薄いブラウンで統一された品のあるインテリアだ。オーシャンビューの窓には相模湾が広がり、江の島の灯台『シーキャンドル』が見えた。
「夕食は8時からだから、まだ1時間半くらいあるね」
「うん。ホテルのお食事、楽しみ!」
「栞は、食いしん坊だからなぁ。太ったら困るから、食べる前に少し運動する?」
直也はそう言ってニヤッと笑うと、あっという間に栞を抱き上げた。
「えっ? シャワー浴びてないのに……やだ~!」
栞が足をバタバタさせて逃げようとするが、直也は全く動じない。
「栞の汗の匂いも好きなんだ……」
そう言って、直也は栞をベッドに横たえるとすぐにキスを始めた。
栞のかすかな抵抗はあっという間に消え、それに代わり可愛らしい喘ぎ声が漏れ始める。
あの日以来、栞は何度も直也に抱かれ、愛の行為にはだいぶ慣れていた。慣れただけではなく、女として敏感に反応するようになっていた。
「あんっ……はぁっっ……」
栞の喘ぐ姿があまりにも可愛らしいので、直也の興奮は一層高まる。
時刻は夕暮れ時を迎えていた。
窓の外では、沈みゆく太陽が最後のクライマックスを魅せていた。
室内には、二人の激しい息遣いと軋むベッドの音だけが響いている。
栞は直也に抱かれながら、愛されている喜びを身体中で感じていた。
濃密で刺激的な時間を終えた二人は、一緒にシャワーを浴び、ディナーに行くために着替えをした。
栞は、以前ショッピングモールデートで直也からプレゼントされた、ベージュのリネンのワンピースを着た。
膨らんだ袖が愛らしく、栞にとてもよく似合っていた。
「すごく可愛いよ……やばいな……また抱きたくなる……」
直也が栞の首筋にキスをしたので、栞はゾクッと震えた。
「あんっ、駄目よ先生! そろそろレストランに行かなくちゃ!」
「あー、残念! 仕方ない……お食事に行くとしますか!」
「ふふっ、私、もうお腹がペコペコです」
栞はニコニコと直也の後を追った。
レストランはとても素敵な雰囲気だった。
吹き抜けの天井は開放感に溢れ、一面ガラス張りの窓から見える夜の海がとてもロマンティックだ。
二人は、窓際の特等席へ案内された。
栞が窓の外に目をやると、水面を照らした月明かりが波間に揺らめいている。
「素敵~!」
「海が目の前だと癒されるよね」
栞の嬉しそうな顔を見て、直也は微笑む。
その時、スパークリングワインが来たので、二人は乾杯した。
「栞、お誕生日おめでとう!」
「ありがとうございます。こんな素敵なホテルでお祝いしてもらえて嬉しい!」
栞は嬉しそうにはにかんだ。
料理は、和洋折衷の創作コース料理だった。
新鮮な魚介や鎌倉野菜をふんだんに使った彩り豊かな料理が、次々と運ばれてくる。栞は、その一つ一つに感動しながら、写真に収めた。
盛り付けに使われた器は、鎌倉彫や織部など、どれも美しく見た目でも楽しめた。
「先生、どれも美味しくて幸せ!」
「喜んでもらえて良かったよ」
直也も嬉しそうに微笑んだ。
デザートにバースデーケーキが運ばれてくると、栞は感激して声を上げた。
スタッフからの『ハッピバースデー』の歌の後に、二人は記念写真を撮ってもらった。
スタッフがいなくなったところで、直也がポケットから小箱を取り出し、栞の前に置いた。
「?」
「僕からの誕生日プレゼントだよ」
「え? プレゼントはこのホテルの宿泊だったんじゃ……」
「ハハッ、それだけじゃ淋しいだろう? 開けてごらん。栞に似合いそうなのを見つけたんだ」
栞はコクンと頷き、ブルーの小箱の白いリボンを解く。
箱の中には黒いジュエリーケースが入っていたので、栞は思わず直也を見た。
「ネックレスだよ」
栞がジュエリーケースを開けると、そこにはハートシェイプのダイヤモンドネックレスが入っていた。
ハート型のダイヤは高貴な輝きを放ち、とても存在感がある。おそらく、かなり高価なものだろう。
「綺麗! でもすごく高そう……」
「一生使えるようにと思って選んだんだ。栞には最高のものが似合うからね」
「でも、私には高価過ぎます」
「いいからつけてごらん」
栞は、おずおずとネックレスを首に着けてみた。
「どうですか?」
「うん、すごく似合ってるよ」
「でも、こんな高価な物……本当にいいんですか?」
「ああ。栞に着けてもらいたいから買ったんだよ」
「先生、ありがとうございます。私、ずっと……一生大切にします」
その言葉を聞いて、直也は満足そうに微笑んだ。
そして、こう付け加える。
「肌身離さず着けてくれると嬉しいな」
「え? 寝る時も?」
「そう」
「お風呂の時も?」
「もちろん!」
「大丈夫かなぁ……失くさないかなぁ?」
「失くしたら、また買ってあげるよ」
「駄目です! これがいいんです! これだからいいの!」
「ハハッ、わかったよ。でも、できればずっと着けていて欲しい。大学に行く時も、バイトの時も……ベッドの上でも…ね」
直也がセクシーな眼差しを向けて言ったので、栞は思わず真っ赤になる。
「ばかっ!」
「ハハハッ、叱られちゃったな」
直也は笑いながら、栞の手を優しく握った。そして、真剣な眼差しでこう言った。
「愛してるよ、栞……」
「私もよ、先生……」
栞は頬を染めたままはにかむと、首元のダイヤにそっと触れた。
食事を終えレストランを出た二人は、部屋へ急いだ。
食事をしている間も、二人の情熱は熱く火照ったままだった。
一刻も早く触れたい……その思いはどちらも同じだったので、部屋へ入った途端、二人はなだれ込むようにベッドへ倒れ込んだ。
その夜、直也は栞の身体をくまなく愛した。
なめらかな若い肌に、何度も何度も唇を這わせる。その度に、栞は悦びの声を上げた。
日ごとに女らしくなっていく栞の柔らかな肢体は、悩まし気に直也を翻弄する。
彼はすっかり、栞の瑞々しい身体の虜になっていた。
ほんの一瞬でも放したくない……
ずっと触れていたい……
気がおかしくなりそうなくらい、直也は栞を欲していた。
そんな彼の愛のこもった奉仕に、栞は素直に反応する。
やがて、二人は絶頂を迎えた。
最後の瞬間、切ない声を上げて果てる栞を、直也が愛おしそうにギュッと抱き締める。
直也に抱き締められた栞は、幸福感に満たされたまま、深い余韻の中へ溶け込んでいった。
窓には、月明かりに照らされた美しい夜の海が、静かに浮かび上がっていた。
コメント
22件
素敵な誕生日♥ モデルになったこのホテルはどこ⁉️鎌倉◯リンス???とか考えるのも楽しいです☺️ 週末は2人が栞ちゃんの部屋で観た📺️と思われる映画「ホリデイ」をみるぞー
濃密な2人の愛の交わりに感動💘💘そして大満足です🤭❤️🩷💗
ずーっと イチャイチャ💋🥰🤗 幸せな2人 こんな流れもあり😍😍 ネックレスのプレゼント ずーっと一緒 ずーっと縛り付けて 栞ちゃんがこんなにも直也先生に溺れるとは😆 直也先生がこんなにもデレデレになるとは😆