賑やかな同期達の声が遠ざかるのに目を眇めていると、ふいに隣から、低く唸るような声が聞こえた。
「もしかして、……今の人ですか?」
そう言った椎名の視線の先を辿れば、今見送ったばかりの一人の男性の背中がある。
椎名からの問いが何に対して向けられたものなのか、今やその後姿を見ても、親しい友人の情を感じる以外にはないので、一拍反応が遅れた。
ややあって察し、口元に笑みを浮かべた。
「素敵な人でしょう?」
告げると、どこか複雑そうな表情をした椎名が、数多の感情を呑み込んだような声音で、小さく頷いた。
「……そう、なんだと思います」
選ばれた言葉に、呑み込み切れなかった何かが滲む。
それに自分で気づいたのか、はっとしたように口を覆い、
「すみません」
と、決まりの悪そうな顔で椎名が言った。
珍しい言動に、つい目を瞠っ*************
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