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~2年後~
僕の目指していた半導体が完成した。鈴原教授の助けもあり、大学院にいるうちに完成させることができた。半導体が完成したと同時に大学院を卒業し、ロボット開発を進めるための会社をつくることになった。鈴原教授は僕にこう言った。
「石田くんが一人で研究したいのは分かるけどさ。ロボットをたくさんつくるのは一人じゃ無理だし。早めに作れる体制を整えときなよ。」
これまでずっと一人で行動してきた僕にとってはかなり環境になれるのがきつかったが、教授の言う通りいつかは誰かと協力して開発をしなければならない。ここから僕の新たな挑戦が始まるのだ。
社員のスカウトには鈴原教授や大学の関係者が手伝ってくれて、設立時に必要な人数が集まった。改めて僕は鈴原教授と大学に感謝しながら、会社の代表としてロボット開発に挑むことになった。
大学院にいるうちにロボット制作の構想は大体できていたので、その構想を開発者たちに見てもらいながら開発を進めた。大学院で完成させた半導体を生かして、「生産に費用がかからないかつ高性能で豊かな感情を持った人形ロボット」の基盤を作る。開発者たちは僕の夢に賛同してくれて、開発は順調に進んだ。
しかし開発が進む中で僕には迷いがあった。常田さんの言葉がずっと引っかかっているのである。もし常田さんの言うように僕達が開発したロボットが世界規模の問題を起こしてしまったら?僕はその責任を負わなければならない。もしくは問題が起きた場合の対処を考えておくべきなのだろうか。まだロボットの開発すらできてないのに。
でも僕の夢に対してネガティヴな考えを持っていては、協力してくれている人達に失礼じゃないか。今は開発に集中するべきだと、自分に言い聞かせるしかない。
「迷いが出てきてるんじゃ無い?石田くん。」
ある日、鈴原教授からこう聞かれた。
「はい。責任というのをこれまで背負ったことがなかったので。それと常田さんの話を思い出すと自分のやっていることが正しいことなのか不安になります。」
鈴原教授は少しの間俯き、僕にこう言った。
「君には友達が必要なんじゃ無いかな。石田くんはこれまであまり他人と関わってこなかったでしょ。関わったとしても私みたいな目上の人か、仕事としての付き合いしかない人だったんじゃないかな。先生や親子とは別の対等な存在が欲しいとは思わない?」
確かにそうかもしれない。僕に対等なパートナーのような存在はこれまでなかった。
「ただ石田くんの性格でこれからそのような存在を作るには難しいだろうね。」
かなりの言われようだが間違ってはない。
「そこで君にプレゼントがあるんだ。これから私の研究室についてきてもらえるかな?」