テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
向陽商会の男性陣は、前評判通り、イケメンしかいない。
乾杯の後、他愛のない事や、仕事の話をしていると、一人の男性が優子に声を掛けてきた。
『岡崎さん、本当にファッションと、自社ブランドの服が大好きなんですね。愛を感じました』
声のする方に顔を向けると、そこには、俳優のオダガワショーにそっくりな男性。
(わぁ……カッコいい……)
優子が彼に一目惚れしてしまい、これが元カレの本橋豪との出会いだった。
合コンの最中も、ずっと二人で話をし続け、お開きの頃には、互いのメッセージアプリのIDを交換。
数度、二人で会った後に、豪からの告白で恋人同士になった。
二人の交際は順風満帆、優子は、紳士で落ち着いた雰囲気の優しい豪が大好きだった。
彼の中学時代からの親友にも会わせてくれて、一度、三人で飲みに行った事もある。
だが、豪と恋人同士になっても、優子の元には合コンの誘いが、ひっきりなしに舞い込んでいた。
優子は、恋人がいながらも、合コンは積極的に参加し、仕事の帰りに会おうか、という豪の誘いも、理由を付けて断るようになってしまう。
二人の付き合いが三年になろうとしている頃、彼女は、やはり合コンで知り合った男を好きになってしまい、恋人の豪に別れを告げると、彼は、相当ショックだったようで、何かを言い掛けていたが、言葉を呑み込み、『分かった』と、ひと言零しただけ。
優子は、豪を振った翌日から、新しい彼と付き合い始めた。
いざ、新しい恋人と付き合い始めても、本橋豪と一緒にいた頃の高揚感が全然ない。
合コンで輝いて見えた新恋人は、二人で会うと、どこか鈍臭く感じてしまう。
また、自分本位な部分がある彼は、豪のような紳士な振る舞いは一切なく、彼女は次第に現在の恋人と一緒にいると疲弊するようになってしまった。
かつての恋人と、今の彼を比較してしまう優子は、気持ちのベクトルが徐々に豪へ傾いていく。
(やっぱり……豪が好き……)
今の彼と別れ、優子は、本橋豪と寄りを戻す事を決意し、メッセージアプリで連絡を取り始めた。