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ただひたすらに、口付けを交わし合った二人は、いつしか眠りに堕ち、窓からは、柔らかな陽光がベッドに注ぎ込まれていた。
黒の視界に微光を感じた圭が、ゆっくりと瞳を開いていくと、美花は隣で穏やかな寝息を立てている。
眩しいのか、美花は、額の上に左腕を翳しながらも、まだ夢の中にいるらしい。
(美花、実は寝相が悪かったりするのか?)
圭は彼女に身体を向け、笑みを湛えながら美花の顔に寄せていく。
しかし、わずかに捲れた袖口から覗く赤黒いものを見た瞬間、彼の顔の動きがピタリと止まった。
白皙の肌には似つかわしくない、細い筋状の傷跡らしきものが、幾重にも浮かび上がっている。
中には、太めの傷も見受けられた。
(これは…………何だ? 傷……か……?)
「…………ん……」
圭は、恐々と彼女の痕跡に触れようとするが、美花も部屋が眩しいのか、寝息から淡色(あわいろ)の吐息に変わり、寝返りを打つ。
やがて、彼女の瞼が小刻みに震え、瞳をゆっくりと開かせた。
寝ぼけているのか、ボーッとした顔で、美花が徐に身体を起こす。
「……ん…………圭ちゃん……おっ……おはよ……」
「あっ…………ああ、おはよう」
圭が微苦笑しながら起き上がると、美花は彼を避けるように背中を向け、落ち着きのない様子で左側の袖口を伸ばしていた。
やたら左腕を気にしている彼女に、圭は眉間に皺を刻ませる。
(美花の左腕…………何が……あるんだ? 俺に見られて……困るものなのか……?)
気になってしまうものの、彼女に聞いても、恐らく答えてくれないだろう。
「美花。おいで」
何事もなかったように振る舞う圭は、美花の身体を抱き寄せ、背後から包み込んだ。
美花の首筋に唇を寄せて、そっと這わせていく。
(自分でも狡いと思うが…………)
圭は徐々に腕の力を緩めながら、華奢な肩に両手を添えると、そのまま腕へ滑らせていく。
左の二の腕に触れた時、美花は慌てて自身の両手で、身体を抱きしめる仕草を見せた。